« jugement:ウェブ名誉毀損の国際裁判管轄 | トップページ | jugement:職場のパソコンによるネット遊びを理由に解雇した事例 »

2005/09/20

jugement:会社代表権欠缺を理由に訴え却下となった事例

民訴の勉強をしている人にしか興味がないと思われるが、
甲府地判平成17年9月9日

しかし、以下のように判決文に証人尋問調書をコピペして理由記載にするというのは異例だと思うが、最近の和解裁判官はこういうことをやるのだろうか?(この判決の倉地康弘裁判官が若いかどうかは全くの別論)

 1 争点(1)(A社長の代表権)について
 原告は,本件訴訟につきA社長には有限会社法27条ノ2の授権があると主張し,その証拠として平成16年3月23日付けの社員総会議事録を提出する。そこには,たしかに,平成16年3月23日に原告主張どおりの社員総会決議があったとの記載がある。
 一方,上記議事録には次のような記載もある。
 「総社員2名 総社員の議決権60口
  出席社員1名 この議決権40口
  定刻取締役Aは議長席に着き,出席社員が法定数に達した旨を告げ,開会を宣し下記議案を満場一 致をもって原案通り可決確定した」
 証拠によれば,原告の社員はA社長とDの2名であり,A社長の出資口数が40口,Dの出資口数が20口であることが認められる。したがって,上記社員総会は,社員2名のうちA社長のみが出席し,Dは欠席して開催されたということになる。これは,原告訴訟代理人が当裁判所に対してした説明とも合致する(同訴訟代理人作成の平成16年4月23日付け上申書)。
 ところが,A社長は,本件訴訟の代表者尋問において,被告訴訟代理人からの質問に対し,原告の社員について次のように供述した。
「(原告の)資本金は300万円のようなんですが,いくら分譲り受けたんですか。
全部です。
(中略)
 あなたが譲り受けた以降は出資者はあなた一人ということなんですね。
はい。
(上記社員総会議事録を示しながら)そうするとこの中には総社員2名となっているんですが,これはどうしてなんですか。
60口についてはEからもらっています。
 E分ともう一人分あるということなんですか。
何しろEからもらったことは間違いありません。
 総社員が二人という認識があったからそう書いたんじゃないんですか。
そうかもしれないですね。
 もう一人には総会を開くことは連絡してないと思いますが,どこに住んでいるか知っているんですか。
   (答えない)
 もう一人が平成16年3月当時にどこに住んでいたかは知っているんですか。
わからないです」
 また,裁判官からの質問に対しては次のように供述した。
「原告会社の持ち分を持っている社員について,あなたとしては誰が何口持っているという認識なんですか。
私は60口ほどEから譲り受けました。
 ほかにはどうなんですか。
Dという人が持っていたようなんですが,それについてはEから話をつけた後で渡すよとは言われていました」
 原告の社員は実際には2名であるにもかかわらず,A社長は,あたかも社員は自分のみであるかのように語っており,もうひとりの社員であるDに対する顧慮はまったくみられない。このようなA社長の態度からすると,上記社員総会については,総出資口数60口中20口の持分を有するDに対する招集手続はまったく行われていないこと,上記社員総会議事録はA社長が書類の上の形を整えるためだけに作成したことが認められる。これでは社員総会決議があったと法的に評価することはとうていできないから,上記社員総会決議は不存在であるといわざるをえない。そうすると,A社長には有限会社法27条ノ2の授権がなく,本件訴訟において原告を代表する権限がないということになるから,A社長が原告のために訴訟行為をしている本件訴えは訴訟要件を欠き不適法である。本件訴えは却下をまぬがれない。
---

|

« jugement:ウェブ名誉毀損の国際裁判管轄 | トップページ | jugement:職場のパソコンによるネット遊びを理由に解雇した事例 »

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

>判決文に証人尋問調書をコピペして理由記載にするというのは異例だと思うが、最近の和解裁判官はこういうことをやるのだろうか?

刑事の判決文だとたまに見かけることが
あるから違和感を感じませんでしたが
よく考えると上告趣意、控訴趣意
に答える形で引用されていた
だけだったかもしれません。
としますと第一審判決で、しかも傍論ではない
判決理由中の判断で使われるのは
確かに異例なのかもと考えるようになりました。


折角なので判決全文読んで見ましたが
ここにも引用されている会話の部分が
何度読んでも咬み合っていないような気が
します。60口AはEから貰ってるのに
議決権ではAには40口しかないという理由が
その間における事情からは把握できませんし
A社長の態度から手続の瑕疵を端的に認定
しているしよくわかりません。
それよりももう一人の原告社員Dを証人尋問すればよいのにと考えてしまいます。


もっとも訴えが適法でも原告の
請求が認められないという結論をわざわざ最後に導いているのは、裁判官としても
上記質問だけでは心証が
あまり強くなかったのでしょうか。

投稿: 東馬 | 2005/09/21 14:52

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/6033236

この記事へのトラックバック一覧です: jugement:会社代表権欠缺を理由に訴え却下となった事例:

« jugement:ウェブ名誉毀損の国際裁判管轄 | トップページ | jugement:職場のパソコンによるネット遊びを理由に解雇した事例 »