« 取り調べの瑕疵か可視化か | トップページ | jugement:会社代表権欠缺を理由に訴え却下となった事例 »

2005/09/20

jugement:ウェブ名誉毀損の国際裁判管轄

カナダ・オンタリオ州の控訴裁判所は、米紙ワシントン・ポストが1997年に掲載した記事が名誉棄損に当たるとして、元国連職員が同紙と同紙記者を相手に居住地カナダ・オンタリオ州で起こした損害賠償請求訴訟で、「訴訟とオンタリオ州は本質的に関連はない」として同紙側の主張を認め、裁判管轄権は同州にはないとする決定をした。
(共同電よりインスパイア)

さて、日本の国際裁判管轄の考え方ではどうなるか、皆さん考えてみて下さい。
(ヒント)名誉毀損と製造物責任とはどこがどう違って国際裁判管轄の考え方にどう影響するのか。

|

« 取り調べの瑕疵か可視化か | トップページ | jugement:会社代表権欠缺を理由に訴え却下となった事例 »

ニュース」カテゴリの記事

コメント

先生まで「インスパイア」ですか……素直に「引用」とすればいいのに、共同通信が何かしでかしたのしょうかw

投稿: 通りすがり | 2005/09/20 20:18

いやなに、ちょっと真似してみただけですよ。
ただ少し要約したので、引用とは言い難く・・・。

共同通信社の権利を制約するものではないことを表明致します。

投稿: 町村 | 2005/09/20 21:45

>日本の国際裁判管轄の考え方ではどうなるか、皆さん考えてみて下さい。
この点に関しては現行では問題になりにくいところで興味があるので考えてみました。

はじめに国際管轄に関する法は今だに定められていないのが現状ですから、依るべき法がない以上
条理によって決するしかありません。(立法的解決は国際私法の分野になるのでしょうか?我が国では法例)

まず、平成9年判決をどう理解するかが問題になると考えます。
一応判例の読み方は2通り考えられます。
ひとつは、特段の事情がある場合はたとえ管轄規定の適用があるとしても否定すると考えるのか
それとも、管轄規定が肯定される場合にさらに管轄を否定する特段の事情(当事者間の公平、裁判の適正、迅速を期するという理念
に反する事情)があるかをを考慮するのか

前者見解は具体的妥当性を考慮できるが、法的安定性を害するとか当事者の予見可能性を困難にするもので
後者見解は法的安定性を一定程度担保でき、具体的妥当性も考慮されなおかつ当事者の予見可能性も
前者よりは容易と考えられるので後者の方が妥当でしょうか。
以下ヒントに誘導される形で考えました。

・名誉毀損の場合
名誉毀損は不法行為ですが不法行為地に国際管轄を認めるのは異論がないといわれています。
この場合さらに特段の事情を考慮する必要性がそもそもないと考えられます。
そして不法行為地は行為が行われた土地だけでなくその相当因果関係の範囲で損害の
結果が生じた地も含むと拡張解釈されるべきですから、たとえば、米国メディアの名誉毀損により日本で
直接損害が生じていれば日本にも管轄を認めうるのではないでしょうか。

これが認められないとしたときに先の条理が問題になります。
まず、考えられるその他の管轄規定は4条5号と5条1項1号でしょうか。
そして普通裁判籍の方はいわゆる同号のいずれかに当たれば国際裁判管轄を推定する逆推知により日本の裁判管轄
があるのか判断されます。そして不法行為における義務履行地の場合は、国際裁判管轄を認めるべきでないというのが
我が国の考え方でしょうか


・製造物責任の場合
製造物責任法に管轄規定は特に定められていませんから
同様に管轄一般的規定の4条、5条でいき、それで一応国際裁判管轄が肯定しうる場合に特段の事情があれば否定する
という方法を取るのだと思いますが
上と同様に財産権上の訴え、不法行為上の訴え(製造物責任は不法行為の特則)の論理が妥当すると考えられます。
その他にさらに何かあるのでしょうか。
しいて言うならば契約における義務履行と捉え、義務履行地の裁判管轄を肯定する要素に働くのでしょうか。
ただ、そもそも不法行為の場合には義務履行地による国際管轄を何故否定するのか、またそれに妥当性があるのか
を考えるといずれの場合でも結果に差異はないとも考えられるのではないでしょうか。


製造物責任の管轄について興味がわきましたのでこの機会にできればご教授していただけませんでしょうか。


何か大きな間違えをしていなければいいのですが・・(お時間ある時にご指摘を望みます)


以下個人的な感想です。
比較法的にカナダのオンタリオ州というのが大陸法、英米法のどちらに位置づけられるのかも興味がありますね。
フランス法に基づいているのは記憶違いでなければQuebecだけだったと思いますが、土地、文化的には両方の融合された
ものがカナダ法なのでしょうか。
オンタリオ州裁判所は本質的関連性説とでもいうのでしょうか、訴訟と裁判所が本質的な繋がりがあるか無いかだけで判断している点でも
興味深いですね。条理よりも明確な点で分があるのかもしれません。さらに、相互保証的な観点も加味されてあれば、妥当性もあるのかなと思いました。

投稿: 東馬 | 2005/09/21 13:47

>(共同電よりインスパイア)

Avexによればインスパイヤが正確だと
思います。インスパイア(Inspire)だとそれに
応じた「効果」が発生しないと解されます。

投稿: 東馬 | 2005/09/21 13:52

いや、製造物責任では輸出品の欠陥に輸出元企業が訴えられるケースがよくあり、不法行為の行為地とは原因と結果のそれぞれについて認められるという例によく使われるわけです。

この名誉毀損の場合は、難点としては名誉毀損された人が多数におよび、多数の国で訴訟になるかもしれないというところでしょうか。
それとメディアの特性があまりにグローバルなので、最終消費地がある程度コントロールできるであろう製造物と同列に論じて良いのか、という利益考量みたいな考慮もあります。

でも、現時点の知見としては東馬さんおっしゃるとおり。

インスパイヤとインスパイアは違うの?

投稿: 町村 | 2005/09/21 23:15

http://www.e-zen.info/

置いておきますね。

投稿: こう | 2005/09/22 01:01

大きな思い違いは無かったようで安心しました。

新司法試験の論文で国際管轄は出ないでしょうけれど興味が持てる分野の一つです。


投稿: 東馬 | 2005/09/23 01:19

国際私法では出るみたいですけどね。選択しなけりゃ関係ないかもしれません。

でも実務家たる者、基本的な決め方から説明くらいはできるようになっておいて欲しいものです。

投稿: 町村 | 2005/09/23 09:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/6032629

この記事へのトラックバック一覧です: jugement:ウェブ名誉毀損の国際裁判管轄:

« 取り調べの瑕疵か可視化か | トップページ | jugement:会社代表権欠缺を理由に訴え却下となった事例 »