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2005/09/05

election:総務省の回答

本日、このブログで書いたノーアクション・レターの回答が電話でやって来た。

なかなか、はっきりきっぱりとした見解が出るものではなかったが、要するに「(1)外形上選挙運動と認められる行為」や、「(2)142条等の禁止を免れる行為とみなされるもの」は、ネットワークを用いてすることができないというのが基本である。
その上で、各党や候補者の政策を収集して比較するなどのページを作ることは許されるだろうけれども、それに論評を加えるなどすれば、それが選挙運動と見なされるおそれが生じるという。

公示前においては、政治活動が規制されるわけではないが、それが選挙運動とみなされるものであれば、事前運動ということになり、やはり違法となる。

そうなると、公示前後を問わず、選挙運動とみなされる行為は禁止されているという点で同じではないかと質問してみたところ、それはそうだが、公示後においては、選挙運動とみなされる行為に加え、上記(2)が禁止される点で異なるとのお答えであった。

なお、総務省としては平成14年段階でIT時代の選挙運動に関する研究会というのが行われ、報告書が作成されている。その立場が現在でも維持されているとのことである。ウェブでも見られるということだったが、このサイトには肝心の報告書がリンクされておらず、報告書とあるのは報告書の目次だけ、報告書の要旨がPDFながら最も詳しい。
(*追記:目次PDFに埋め込まれているリンクをクリックすれば報告書本文にアクセスできるとのご指摘を、総務省担当者から頂いた。しかし私の環境ではどうもうまく読み込めないようである。ウィンドウズのファイアフォックスでアクセスしてみると、ちゃんと読めた。)
しかしもっと詳しい議事録の中で、上記の件について事務局(つまり行政当局)の見解が端的に表れている個所が以下の部分である。
---
○戸波委員 その1と関係しまして、ちょっと基本的なことをお伺いしたいんですけれども、普通ですと、候補者はHPを持っていますよね。それで自分の政策のアピールや何かをしていますね。それが選挙の期日前であれば政治活動だと基本的にみなされるんですけれども、それが選挙の公示後になりますと、何らかの書き換えをするだとか、そのまま政治活動文書と見なされるのか、あるいは、それで選挙運動用文書ということになるのかという、そこの見極めといいますか、切り換えというのは、これは実際にどうなるんですか。
○事務局 選挙運動と政治活動の概念の違いということになりますと、選挙運動のほうが、特定の選挙において、特定の候補者の当選を得るために積極的に働きかける行為、間接的直接的に働きかける行為ということでございます。いわゆるいろいろな形態も含めまして、今までの文書でありますれば、その貼った時期とか貼った枚数とか、それと、その内容等含めて総合的に判断するわけなんです。ただ、HPの場合は、そのまま継続して内容だけ変わるということになりますと、貼った形態とか時期とかというのを考慮になかなか入れにくくなると思うんですけれども、その内容的にやはり特定の選挙に私が立候補しているとか、そういう内容的なもので見極めていくということになるのではないかと考えております。
○戸波委員 同じ文書がずっとあって、でも、選挙に関係したことが入っていると事前運動の問題が出てきますね。もし入っていると、やっぱり事前運動の取締りの対象にはなるということになりますね。
○事務局 はい。ですから、選挙運動は期間中しかしちゃいかんというのがございます。事前事後については、政治活動はできるわけでございますね。ですから、投票の呼びかけ等がなければ、働きかけなければ、通常政治活動として認められるわけでございますね。ところが、期間中にはいりまして、それを書き換えますと、その直接的に呼びかけをしなくても、期間中にわざわざそういうことを書くことは、運動に紛らわしいことをやるということで免れる行為ととらえ、脱法行為としてつかまえるんだということになりますね。ですから、選挙運動類似行為と見なされるわけです。ですから、事前の場合においては、そもそも投票呼びかけとか、投票依頼とかの文書をすることはできないということになります。
---
http://www.soumu.go.jp/singi/it_senkyo_10_1.html)

なかなか、これではっきりしたことというのはないのだが、出発点に戻って、「選挙運動」と外形上みなされる行為はどういうものかが問題となる。これを幅広くとらえれば、それだけ自由な言論は制約を受け、逆に狭く解せば自由は広がるが選挙運動規制が空洞化することとなる。
しかし、公示前の政治活動は選挙運動ではなく、それは公示後も同じなのだから、やはり政治活動を禁止されるのは解釈としても成り立たないように思われる。

なお、総務省担当者の対応は素晴らしく、難解な法律用語は分かりやすく言い換えてくれるなど、一般市民に対する情報提供を実質的にも進めようという姿勢が強く感じられた。

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コメント

以前、町村先生が「憲法の表現の自由の点から見て問題だろう」とおっしゃってましたが選挙実務ハンドブック(これに従って実務をやる)を見るとありとらゆる方向に規制があって、インターネット・HPが使える・使えないという問題はとても大きいけど、現在のポスターや宣車の規制なども合わせてみると、どうなるんだろう?といった印象を受けます。

そこで、現在のインターネット・HP以外のところを現状のままで、それらに合うようにHPを使えるようにする、となるとほとんとテンプレートを総務省が用意するようなイメージになってしまいますね。

実際、ポスターや宣車の作り方はテンプレートがあるわけですから、HPについてもテンプレートが出来ても不思議じゃない。
どんなものでしょうか・・・・・。

投稿: 酔うぞ | 2005/09/06 08:34

公職の立候補者やその支援者・関係者が行う選挙運動について、表現の自由が制約されることには異論を唱えていません。
酔うぞさんのいうのはそういう問題でしょう?
その上で公平なインターネット利用の選挙運動を促進していけばよいです。テンプレートも一つのやり方かもしれません。

しかし選挙運動と政治活動とは違うものですし、選挙運動と紛らわしいものをすべて規制対象にしてしまえば、政治的な発言は一切できなくなります。
それは表現行為の過剰な規制だろうということです。

選挙運動ではない行為を前提に考えているので、選挙実務ハンドブックなるものは関係がないのでは?

投稿: 町村 | 2005/09/06 10:17

>しかし選挙運動と政治活動とは違うものですし、
>選挙運動と紛らわしいものをすべて規制対象にしてしまえば、政治的な発言は一切できなくなります。

選挙期間中の活動については、ほぼこの通りですね。
えっと政治活動が出来ないではなくて、政治活動が選挙運動だ、と言う意味ですが。

その結果として、無所属はものすごいハンディキャップの中で選挙戦を戦います。

わたしは、中の人だもんだから選挙期間中も通常の戦時活動が続くということに、頭がまわらなかったですね。

この部分の問題は具体的には立候補者のHPのあり方などになりますが、例えば昔の勝手連の要領で賛成(反対)HPが勝手に出来るのは、政治的な自由の観点から重要だと思いますが、
どこかで候補者(政党)が隠れて、一見無関係のように見せるサイトを作る、というのはあるだろうな・・。

投稿: 酔うぞ | 2005/09/06 14:09

早速の、コメントありがとうございます。結局、総務省も146条の目的に関する条件(“142条又は143条を免れる”の部分です)は外れないと解釈していると考えてよろしいのですね? 

投稿: sleepless_night | 2005/09/06 23:37

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