« news:裁判官の給与を下げて地方と都市の格差を拡大することを最高裁裁判官会議で決定 | トップページ | jugement:将来給付の訴えが一部却下された事例 »

2005/09/28

arret:right to vote訴え却下

解散に伴って衆議院議員定数不均衡を理由とする選挙無効訴訟が却下された。
当たり前すぎるが、民訴的にはなぜそうなのか、口頭弁論を経ないのはなぜか、など勉強して欲しい。また、本当にそれでよいのか、という批判的検討も忘れずに。
判例 平成17年09月27日 第三小法廷判決 平成17(行ツ)71 選挙無効請求事件

要旨: 衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴えは,衆議院の解散によって訴えの利益を失う
件名 選挙無効請求事件 (最高裁判所 平成17(行ツ)71 平成17年09月27日 第三小法廷判決 破棄自判)
主    文
       原判決を破棄する。
       本件訴えを却下する。
       訴訟の総費用は上告人の負担とする。
理    由
 本件訴えは,平成15年11月9日に施行された衆議院議員の総選挙のうち東京都第1区における小選挙区選出議員の選挙(以下「本件選挙」という。)について,その選挙人である上告人が,本件選挙を無効とする判決を求めるものである。
 ところで,平成17年8月8日に衆議院が解散されたことは公知の事実であり,解散によって本件選挙の効力は将来に向かって失われたものと解すべきであるから,本件訴えについては,訴えの利益が失われたというべきである。そうすると,本案の判断をした原判決は失当であることに帰するから,原判決を破棄し,本件訴えを却下すべきである。なお,本件訴えは不適法でその不備を補正することができないものであるから,当裁判所は,口頭弁論を経ないで上記の判決をすることとする。

|

« news:裁判官の給与を下げて地方と都市の格差を拡大することを最高裁裁判官会議で決定 | トップページ | jugement:将来給付の訴えが一部却下された事例 »

コメント

<本当にそれでよいのか

訴えの利益が原告の責めに帰すべき理由で不適法とされるならまだしも、これに限らず
原告の訴えが訴訟提起時には適法だったのであれば、その後訴訟要件が原告の責めに帰さない理由で欠缺したとしても当然に不適法で却下は疑問です。

本案を審理し理由が有れば事情判決の法理
を用いた終局判決が望ましいと考えます
町村教授はどのようにお考えなのでしょうか。

投稿: 東馬 | 2005/09/29 00:42

問題点は、形成訴訟の機能に何を求めるかということと、訴訟要件の具備の基準時を何時ととらえるかの二点です。

訴訟要件が訴え提起時点で具備していたとしても、その後に事情が変わって消滅した場合は却下となること自体、おかしなことではないでしょう。本案判決を下す利益・必要が消失したら、そのような本案判決を下すべきでありませんから。
その場合、原告の責めに帰すべき事情があるかどうかは関係がないのでしょう。というのも、却下は原告にサンクションを下すわけではないからです。訴訟費用について負担させられることは釈然としないですが、他に負担すべき人がいません。

第一の形成訴訟の機能を、具体的な変動を目的とするだけでなく、不当・違法の是正という点も重視するなら、変動されるべき状態が消滅しても利益が失われないということになります。
しかし、形成訴訟の機能をそのように広げることは、特に選挙争訟の場合、賛成できません。抽象的違憲訴訟を認めないことと衝突しますから。

投稿: 町村 | 2005/09/29 09:46

本当によいのかという問題提起の仕方からするとこの判旨に批判的なのかなと受け取っていましたが判旨に肯定的なのでしょうか?


選挙争訟の場合高裁が第一審ですよね
(公選法204条)
三審制の原則が採られていないこと
出訴期間が非常に短いこと等からして
法がなるべく短期に決着を図ろうとしている
ものと考えられます。
とすれば最高裁としては高裁の判断を受けてなるべく短期に判断を下すべきではと思うのです。言うなれば最重要事件に位置づけられるべきです。

衆議院が解散したから訴えの利益はないといわれて訴訟が終了するのでは
原告はこれまで何のために訴訟行為をしてきたのかということになるのではありませんか。
訴訟費用の問題も確かにありますが、公益の代表者として原告が訴訟に費やしたであろう時間や労力を考えると、訴えの利益がないからといって安直に口頭弁論を経ないで却下ではなく納得のいく判断が最高裁により
その前に下されるべきであるのはもちろんのこと、訴えの利益がなくなった場合でも違憲の疑いがあると認められるのであれば口頭弁論を開いて公益の代表者が納得する形で訴訟が終了する形が望ましいのではないでしょうか。
このように解さないと、いつまでたっても投票価値の平等が是正されることは望めなくなるし、選挙争訟の原告になろうというものが
現れなくなる虞がでてきます。
こうなると客観訴訟を設けた法の趣旨にも
反するように思えます。

>その場合、原告の責めに帰すべき事情があるかどうかは関係がないのでしょう。

他の訴訟ではそのように解しても不都合はないかもしれませんが
選挙争訟では原告の責に帰すべき事由がないときにも当然に消滅するとするのは
やはり上記の理由から違和感を感じるのです。

>抽象的違憲訴訟を認めないことと衝突しますから
この点がよくわからないのですが
客観訴訟においても違憲判断はされて
いるのではないですか?
されているのだとすると
抽象的違憲訴訟を実質的に認めていること
にはならないのでしょうか。

なお、単なる不当違法ではなく違憲の疑い
がある場合に限り、無効請求から
無効確認の訴えへと変更することはできないのでしょうか。この場合過去の法律関係を
確認することになるので判例によれば
否定されるでしょうけれども、これが
可能であれば形成訴訟の機能の限界の問題は乗り越えられないでしょうか?

投稿: 東馬 | 2005/09/30 09:39

たしかに、 東馬さんがおっしゃることも分かります。
もうひとつ事情判決というのも、違法を宣言しつつ請求は棄却するわけですから客観的利益を訴訟制度が取り上げているということになるでしょう。

ただそこまで裁判所に期待するのは、民主的正統性もない機関に頼りすぎな気がするんですよ。
具体的解決に結びつかないところで違憲かどうかをいうのは、内閣法制局とかが下す判断と同様でしかないですから。

無効請求でも無効確認でも、根本は同じです。

投稿: 町村 | 2005/10/01 01:25

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: arret:right to vote訴え却下:

« news:裁判官の給与を下げて地方と都市の格差を拡大することを最高裁裁判官会議で決定 | トップページ | jugement:将来給付の訴えが一部却下された事例 »