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2005/08/29

no_action_letter総務省の迅速な対応

政府は法令適用事前確認手続(いわゆるノーアクションレター)を運用している。
選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明が公選法に違反するという強い意見が巷に流れているので、総務省にノーアクションレターの照会をしてみた。すると・・・

総務省のサイトには適用対象の法令が、それぞれの窓口とともに列挙され、その中には公選法というのがない。しかも事業活動に関する透明性確保のための制度なので、個人がブログで意見表明するというような事業活動に関係しないものは、そもそも対象外なのだ。

そういって却下処分されるかと思ったのだが、メールで照会書を送った2時間後に、素早く返事が電話できた。
電話してきた方は、上記の対象外の理由を伝えるとともに、選挙関係部署に回付するので、そちらの方で対応すること、ついては、明日、公示日には対応できないので、明後日以降の対応ということになるが、それでよいか、というではないか。

なかなか、素早く、かつ実質的に行政の透明性を高めるための活動を動かしていこうという意欲に充ち満ちた対応である。

ちなみに、照会書には以下の内容を書いておいた。

-------------------
総務省法令適用事前確認手続規則(平成13年8月29日総務省訓令第197号) 第3条第2項の規定に基づき、下記のとおり照会します。
なお、照会者名並びに照会及び回答内容が公表されることに同意します。

                                       記
1 法令の名称及び条項
 公職選挙法、特に146条、148条
 憲法21条

2 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実
 (1) インターネットのウェブページ(特にいわゆるブログ)を用いて、一般に公表して、衆議院議員選挙の立候補予定者および立候補者、政党などを、その特定の氏名・名称を挙げて、政治姿勢や選挙運動など一切の行為を指摘し、批判または積極的評価を下す行為
 (2) 前項の行為を、対象となる候補者および政党の特定の氏名・名称を挙げないでする行為
(3) 特定の選挙区内または選挙区をまたいで、複数の候補者に関する政治姿勢や政見、選挙運動など一切の行為を指摘して比較する一覧表を、インターネットのウェブページ(特にいわゆるブログ)を用いて一般に公表する行為

3 当該事実が照会法令の適用対象となる(ならない)ことに関する照会者の見解及び根拠
 公職選挙法第146条は以下のように定めている。
 「何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。」
 これによれば、上記2記載の行為は禁止されているようにも思われる。
 しかしながら、憲法21条は表現の自由を保障しており、しかもこれは国民主権主義を具体化するのに必要なツールとして、特に政治的言論に関しては手厚く保障されるべきものである。このことは裁判の公開制限(憲法82条)の例外や名誉毀損の免責事由などにも現れている。
 加えて公職選挙法は平等公平な選挙を実現することを目的としており、その限りで憲法の定める自由を制約することとなってもやむを得ないが、その制限は可能な限り少なく、かつ明白かつ現在の危険を避けるために必要な限度にとどめられることが、憲法の許す範囲の制限である。
 従って、一般市民が、衆議院議員選挙の公示前後を問わず、政治的意見の表明をすることは推奨されこそすれ、法的制限にかかるものではなく、公職選挙法の上記条文もまたその趣旨に従って解釈すべきである。
 なお、146条は「何人も」とあるが、その行為は142条または143条の禁止を免れる行為としてであるため、選挙運動のためにすることが要件となっている。上記2記載の各行為は選挙運動のために行うものではないが、禁止をされるには選挙運動のためにされていることが立証されなければならない。従って、公職選挙立候補者との委託関係が立証されない限り、一般市民がその政治的見解を特定の候補者名・政党と結びつけて表明することは、当然許され、またそれがインターネットのウェブページやブログを通じて公開されることも禁止されるべきでない。
--------------------

なお、この選挙の話とは別に、ノーアクションレターはもっともっと活用されて良い。国会議員の質問主意書と同様に、行政庁の見解を正式に問う正式の制度であり、回答義務が原則としてあるからだ。
ブログでルポルタージュを行う方々なども、活用してみてはどうだろうか?

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コメント

 公職選挙法の所管は,各選挙管理委員会です。ですが,同会の選挙違反の説明は,ウチではこのように解釈していますが,警察検察が別の解釈をすることもあります,というものでした。
 これでは,どないセイっちゅうんだ!と思う今日このごろ(捕まりたくないから)。

投稿: ハスカップ | 2005/08/30 00:57

おっ、ネットで選挙活動が出来るか聞いてくれたのか?
と思ったら、違ったようで残念。
ってゆーか、そろそろネットでの選挙活動の可否について、
明文ではっきりさせて欲しいな。
誰かがフライングすれば、うやむやのうちに解禁しそうだけど…。

投稿: ぽん | 2005/08/30 03:52

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