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2005/08/28

Blogジャーナリストと公選法の規制???

泉あいさんは、本格的なブログジャーナリストとして活動するべく活動されているようだ。→GripBlog
微妙な言い方だが、本格的なブログジャーナリストとして存在しうるかどうかも含めて、彼女自身が試みているらしい。

さしあたり、選挙に関してブログを通じたルポライターとしての活動をされている。

また、面白いことに、彼女自身を専属記者として読者がデスク機能を果たすGripフォーラムを立ち上げている。

その中で、公選法上、ブログで立候補者のインタビューや選挙演説のビデオなどを流したらイケナイかもしれないという話が書いてあった。
そういえば自民党とブロガーとの対話の中でも、政党比較.comみたいなのをやりたいけど公選法上できないということが書いてあった。

立候補者がブログやウェブを使うのが文書図画のモニター分だけ配布になるという(およそ考えられない、まともな人間がした解釈とはとうてい思えない)解釈で事実上禁止されているのは、(その解釈自体がおよそ馬鹿そのものだということを別とすれば)理解できる。
しかし、別に立候補しているわけではない一般市民が、なぜに表現行為を制約されなければならないのか?

憲法には表現の自由というのが保障されており、これは経済的自由などとは違って最大限保障されなければならないとされている。そしてこれは参政権の重要なツールとして保障されている。
それなのに、もっとも政治参加が活発になるべき選挙の時期(特に公示から投票日まで)に、政治的見解を開陳することが出来なくなるというのは明らかにスジ悪である。

そして、この時期のブロガーたちの発言をみても、明らかに萎縮効果が見て取れる。
二つ前のエントリで紹介したホリエモンインタビューでも、要するに公選法には何も書いていないが行政の恣意的な運用が可能性としてあり、その打撃は身柄拘束の可能性というだけでも大きいので、自粛せざるを得ないというわけで、表現の自由にとっては最も懸念すべき、法的規制が直接あるわけではないのに絶大なる萎縮効果が生じているのだ。
候補者はともかくとして、一般市民にも、この萎縮効果が広がっていることに深く危惧を覚える。

さらにインターネット上の表現行為では、プロバイダという存在が状況をさらに悪化させる。ただでさえ萎縮効果があるのに、プロバイダがリスク回避を求めて規約で縛るので、その運用もまた恣意的なのだが、余計にユーザは萎縮せざるを得ない。
かくして選挙期間中は一般市民も政治的エントリをあげられないなどという、およそ憲法的にはあり得ないようなことが堂々と、まことしやかに、広まっていくのだ。

こういう隠秘な形での萎縮効果を排除するための仕組みが日本の司法制度には備わっていない。つまりテスト訴訟や抽象的違憲審査とか、あるいは最高裁の憲法判断を意見として示す制度などだ。
行政庁のノーアクションレターがわずかに事前に有権的法解釈を明らかにさせる制度だが、公職選挙法に関連して総務省はノーアクションレターを受け付けているのだろうか?

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コメント

>しかし、別に立候補しているわけではない一般市民が、なぜに表現行為を制約されなければならないのか?

運動員をネットワーク上では区別できないからですね。
実務的にも難しいと思う。

例えば、インターネット選挙運動を認めた場合、検索したら某政党ばかり、某候補者ばかりが出てくる、なんて問題にどう対応するのか?

戸別訪問は認めないけど、電話依頼は認める、といったところに難しさに苦闘していると見てます。

選挙のインターネット利用に関する関する研究会、とか作ってくれれば参加しますよ(^_^)

投稿: 酔うぞ | 2005/08/29 12:10

酔うぞさん、
別に実務的に区別しづらいのはかまわないのですよ。
罰則の適用については罪刑法定主義なんだから、運動員が選挙運動としてやっていることを国が立証できれば規制対象、立証できなければ自由ということで、区別しづらければ規制はできないというだけのことです。

もともと表現の自由を規制するのは例外的にどうしても必要があるときだけ許されるのです。区別しづらいから一般市民の活動も十把一絡げに規制してしまえ、というのは、どう見ても憲法違反です。

投稿: 町村 | 2005/08/29 13:42

>もともと表現の自由を規制するのは例外的にどうしても必要があるときだけ許されるのです。
>区別しづらいから一般市民の活動も十把一絡げに規制してしまえ、というのは、どう見ても憲法違反です。

あ~なるほど、そこまでさかのぼって考えてなかった(選挙は当事者なので・・・・・)

しかしな-公職選挙法では「許していることが以外は全部違法」なので、
そもそも「自由が無い」わけで、どうしたものですかね?

投稿: 酔うぞ | 2005/08/29 13:57

まず公職選挙法の適用のある行為かどうかで切り分けてはいかが?

投稿: 町村 | 2005/08/29 14:00

結局、公選法の選挙観が問題なんですよね。選挙は候補者(被選挙権者)のものととらえていて、国民(選挙権者)のものととらえていない。国民が候補者とかかわりなく、候補者の適正を論じ、政策を論じることは、まかりならぬというのですから。
>酔うぞさん
公選法の規制はかなり網羅的ですよ。「べからず選挙法」と揶揄されるゆえんです。
かつて言語障害者の方が、講演会入会を求めるビラを配布した行為が、法定外文書の配布に当たり公選法違反であるとして逮捕、起訴され、有罪になったくらいですから(玉野事件)。

投稿: 増田尚 | 2005/08/30 21:57

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