Article新会社法(Jurist特集)
ジュリストの2005年8月1-15日号(1295号)は、会社法特集であり、全条文と改正要綱が付録別冊についている。
そのうち、理論的に興味深いのは、神作裕之「会社法総則・擬似外国会社」134頁以下だ。
会社法上の会社は、今まで当然のように営利社団であることがメルクマールとされていたはずで、大学の授業では民法でも商法でもそう教わった記憶がある。
ところが先日の同僚との飲み会で、新会社法では株式会社や合同会社が営利社団と限らないことになると教えられ、驚いたところだ。そんなとこに、この論稿が来たのでタイムリーであった。
ポイントの第一は現行商法52条「会社トハ商行為ヲ為スヲ業トスル目的ヲ以テ設立シタル社団」という商事会社の定義規定が、新法に受け継がれなかったことにある。
ただし、新法5条では会社が事業として行う行為を商行為とするとしているので、商人であることは否定されない。
第二に営利性のメルクマールについては、配当請求権と残余財産分配請求権を社員が持つことと考えると、その両方を社員に与えない定款は無効だと規定されている(新法105条2項)ので、残余財産分配請求権はあるけれども配当請求権はないという定款は有効ということになる(神作・138頁)。
要するに、営利企業というのは、元手を得て、事業を展開し、利益をあげて、それを元手出資者に配当するというものだったはずだが、そのような意味での営利企業でない株式会社というのがあり得るというわけだ。
ただし、神作教授によれば、事業の概念から、単なる消費にとどまらない市場における活動が、会社の本質的要素となると解されている。
単純な話ではなく、具体的帰結がどこにあるのか見えにくいのだが、いずれにしても持分会社のみならず株式会社でも、利益分配を伴わない非営利の事業を目的とした会社というのがあり得るようである。
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