arret:刑事記録の文書提出命令
同じ日に文書提出命令の重要決定を二つ出すと紛らわしくなるので止めて欲しいが、それはつまらない愚痴というものか。しかも事件番号の数字まで同じ4号。区別は許可抗告か行政フかという部分のみで可能だ。
#学生さんたち、引用する場合は判決年月日までで止めては不十分で判例集の掲載ページまで書かなければいけないというのは、こういう例があるからなんですよ。
最決平成17年7月22日平成17年(許)第4号
こちらは、法律関係文書として刑事訴訟記録の提出を一部認め、一部は刑訴法47条の裁量権として提出拒否が正当だとしたものである。
捜査関係文書についてはこれまでも最高裁の判断が出されていたところだが、本決定文でも引用されている平成16年決定(これについては重判で私が解説を書いている。)で一般論として認められていたところを、本決定は具体的に文書提出命令肯定および否定の適用をしたところが重要である。
捜査関係文書、特に捜索差押令状とその請求書が捜査対象者と国との法律関係文書にあたるという判断は、これで確定的な判例となったといってよさそうだ。
また刑訴法47条の規定による提出拒否とその裁量が裁判所の判断により濫用・逸脱と認められる場合が現実に肯定された事例としても、先例的価値は高い。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- Book:平成司法制度改革の研究:理論なき改革はいかに挫折したのか(2023.02.02)
- Wikipediaの記事を裁判に証拠として提出することの効果(2023.01.08)
- 民訴125条と新たな法定訴訟担当(2023.01.04)
- Book:弁護士のための史上最悪の離婚事件(2022.11.24)
- Book:痴漢を弁護する理由(2022.11.14)
コメント