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2005/07/26

arret:外交文書の文書提出命令新判断

最決平成17年7月22日平成17年(行フ)第4号
法務省が外務省を通じてパキスタン公機関に対して本件逮捕状等の写しの原本の存在及び成立の真正に関し照会を行った際に外務省に交付した依頼文書の控えおよび口上書である照会文書ならびに回答書の提出が問われた例

結論は、提出を命じた原決定を破棄し、秘密性の有無についての審理を十分せよと差し戻した。
ただ、決定に付された補足意見によれば、原審段階で国は秘密性について十分主張立証していなかったようで、許可抗告の抗告理由で初めて実質的な秘密性を主張したようである。
この点は、一般の私人がそういうことをしても絶対通らないと思うが、外交文書ならではの例外だろうか?

要旨部分は以下の通り。
「(1) 抗告人らの主張によれば,本件依頼文書には,本件逮捕状等の写しの真偽の照会を依頼する旨の記載のほか,調査方法,調査条件,調査対象国の内政上の諸問題,調査の際に特に留意すべき事項,調査に係る背景事情等に関する重要な情報が記載されており,その中にはパキスタン政府に知らせていない事項も含まれているというのである。そうであるとすれば,本件依頼文書には,本件各調査文書によって公にされていない事項が記載されており,その内容によっては,本件依頼文書の提出によりパキスタンとの間に外交上の問題が生ずることなどから他国との信頼関係が損なわれ,今後の難民に関する調査活動等の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものと認める余地がある。
 (2) また,抗告人らの主張によれば,本件照会文書及び本件回答文書は,外交実務上「口上書」と称される外交文書の形式によるものであるところ,口上書は,国家間又は国家と国際機関との間の書面による公式な連絡様式であり,信書の性質を有するものであることから,外交実務上,通常はその原本自体が公開されることを前提とせずに作成され,交付されるものであり,このことを踏まえて,口上書は公開しないことが外交上の慣例とされているというのである。加えて,抗告人らの主張によれば,本件照会文書及び本件回答文書には,発出者ないし受領者により秘密の取扱いをすべきことを表記した上で,相手国に対する伝達事項等が記載されているというのである。そうであるとすれば,本件照会文書及び本件回答文書には,本件各調査文書によって公にされていない事項について,公開されないことを前提としてされた記載があり,その内容によっては,本件照会文書及び本件回答文書の提出により他国との信頼関係が損なわれ,我が国の情報収集活動等の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものと認める余地がある。
 (3) したがって,本件各文書については,抗告人らの主張する記載の存否及び内容,本件照会文書及び本件回答文書については,加えて,これらが口上書の形式によるものであるとすれば抗告人らの主張する慣例の有無等について審理した上で,これらが提出された場合に我が国と他国との信頼関係に与える影響等について検討しなければ,民訴法223条4項1号に掲げるおそれがあることを理由として同法220条4号ロ所定の文書に該当する旨の当該監督官庁の意見に相当の理由があると認めるに足りない場合に当たるか否かについて,判断することはできないというべきである。」

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