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2005/06/02

NET自殺対策

ネット自殺急増と言うことで、自殺をほのめかす書き込みなどを見つけた場合の対策が考えられている。
プロバイダに書込者の身元を明らかにするように求めるということでまとまりそうだ。

電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会

そのこと自体は、まあ否定するまでもないかもしれない。通信の秘密やプライバシーがないがしろにされていないか、という疑念はあるものの、橋から飛び降りようとしている人を見かけたら取りあえず止めるだろうし、その際プライバシーなどを気にはしていないかもしれない。

しかし、問題は二つある。一つには、自殺も考えるほどに追いつめられている人が、ネットの様々な場で同じ悩みを共有する人と出会った場合に、一緒に死ぬという行動に走るということももちろんあるだろうが、そうではなく立ち直る方向に働くこともあり得る。ネット自殺に走る人々はわずかに55人とかその程度だとすると、後者の方が圧倒的に多数なのではないか?
そして前者か後者かの区別が、警察官や、ましてやプロバイダに見極めが付くのだろうか?

第二に、自殺を考えるほどに追いつめられている人が死を選択しないようにすることが目標だとすると、自殺をほのめかす書き込みを見つけたら身元を開示させて説得するというのでは、対策としていかにも乏しい。
というよりも、簡単に説得ができるものではない。もちろん、まずは問題発見が必要だともいえるが、その対応によっては追いつめて、かえって死に追いやることもあるだろう。
自殺には緊急性があるから、開示が必要といわれているが、逆に自殺を考えるほどの悩みや、そういう悩みをかかえていることは、いわゆる機微情報であって、強くプライバシー保護が求められる領域であることも、忘れられているように思われる。
上記のサイトのメンバーは名だたる有識者であるし、熟慮を期待したいところである。

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コメント

精神科医香山リカが「日本の論点」で語ったところによると、「一緒に死のう」という論理は、同時に「一緒に生きよう」という方向にも持っていけるはずで、ネットにおける共同性の負の側面ばかり見るのは間違いだということです。町村さまとほぼ同じ趣旨でした。

投稿: 井上 | 2005/06/02 23:29

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