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2005/06/14

arret:公開範囲をなんとか狭めようとする行政に鉄槌

最判平成17年6月14日
岐阜の渡し船の話である。

現代に渡し船があるということ自体驚きだが、それを県営でやっていて、しかも誰も乗らないらしい。
で、どうなんってのかということで調べ始めたのが発端であろうか。

情報公開を求めたら、指定された情報を残して黒塗りで出してくるという姑息さ。
最高裁は次のように判断した。
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本件条例が,本件条例に基づく公開の請求の対象を「情報」ではなく「公文書」としていることは明らかである。したがって,本件条例に基づき公文書の公開を請求する者が,例えば,「大垣土木事務所の県営渡船越立業務に関する情報が記録されている公文書」というように,記録されている情報の面から公開を請求する公文書を特定した場合であっても,当該公文書のうちその情報が記録されている部分のみが公開の請求の対象となるものではなく,当該公文書全体がその対象となるものというべきである。本件条例の下において,実施機関が,公開の請求に係る公文書に請求の対象外となる情報等が記録されている部分があるとし,公開すると,そのすべてが公開の請求に係る事項に関するものであると混同されるおそれがあるとの理由で,上記部分を公開しないことは許されないというべきである。
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コメント

大阪には,市営の現役渡し舟がいまも大活躍です。ちなみに無料です。
http://www.office-may.net/sampo/spots/tosen.html

投稿: M | 2005/06/15 00:14

ずいぶん前ですが、帯広の近くで、渡し船の船着き場に国道の逆おにぎりマークが掲示されているのを見た事があります。橋ができて廃止になったと聞きましたが。
 このケースも県道として交通基盤の整備を行うのにあたって、橋を架けるだけの予算がないので県道の一部として渡船を行っているという事だと思います。
 http://www.jic-gifu.or.jp/np/g_news/200209/0929.htm
のことでしょうか.....

投稿: kumakuma1967 | 2005/06/15 00:53

眠くて後まわしにした事を書きます。
このような場合、例えばA点とB点を県道として交通整備することが妥当かどうか、あるいは、それとも県道としては妥当だが、渡船を廃止して架橋した方が合理的かどうか、のどちらかの検討されるのが普通なのではないかと思います。
 渡船だけを切り離して議論する事はできないので、もしご推測のような趣旨で公開請求されたなら「めんどくさいことになった」と思って非協力的になるケースもあるのではないでしょうか。
 もちろん最高裁で叱られた通り、黒塗りでの対応なんて許されない訳で、疑問が生じていることを受け止めて、それを解消するためによいチャンスと考えたほうがいいわけですね。私の推定通りなら、請求範囲が広いので、県道指定の公文書とか架橋を検討した公文書があればそれも渡した方がよかったのかもしれません。

投稿: kumakuma1967 | 2005/06/15 09:45

そうですか、大阪にはまだ残ってますか。
まるで香港のようですね。

北海道のどこかにも、かつて国道に渡し船という箇所があったと思いますが、今はもうさすがにないんでしょう。

投稿: 町村 | 2005/06/15 13:36

なぜかkumakumaさんのコメントが表示されていませんでしたが、その北海道の渡しがkumakumaさんご指摘のものですね。

投稿: 町村 | 2005/06/15 13:38

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