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2005/05/23

proc_civ:民訴学会(3)

民訴学会二日目の全体ミニシンポは、弁護士の行動基準がテーマであった。なかなかブラックな問題提起がなされていた。

それは、東弁の山浦善樹弁護士が提唱されたリピーター理論である。
平成8年および15年改正で導入された当事者照会や詰問権、提訴前の証拠収集処分などが使われないのは、多くの弁護士が多かれ少なかれ、より美味しい資産家の当事者がリピーターとなって次から次へと事件を持ち込んでくれることを期待し、迅速で効率的な事件処理が可能になるような手段は敢えてとらず、消極的な形で引き延ばしにかかっている、というわけである。

事件処理が引き延ばされるとなぜリピータ獲得につながるかは、個人の顧客を念頭に、多数のトラブルのそれぞれを別々の弁護士に委任するということはほとんどない、弁護士の掛け持ちをするような個人はほとんどないという経験則に裏打ちされている。
この点は、企業であればそのようなことはないという反論にあっていた。
また、個人の資産家の顧客は、不動産を多数賃貸している場合が多く、そうなると立ち退きや未払い賃金などのトラブルは後を絶たないし、相続等の財産処分も必ず必要となるので、次から次へと法律家が必要になる、というわけである。

もちろん、山浦先生自身がそのように行動しているわけでは全くなく、また多くの弁護士が意識的にそのようにしているわけでもないだろうが、中には意識的にそのようにしている人もいるかも知れないし、無意識的な行動を律する要因の一つになっているかもしれない。それが新民訴の、特に当事者自身により迅速効率を実現する諸規定の利用の消極性を説明する一要素であるという。

会場からは、前述の「企業はもたもたやっているとリピータとならない」という反論のほか、ピントのはずれた反論が多く出され、伊藤眞教授が最後に理解不足の質問が多かったと苦言を呈していた。

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コメント

いつも拝読しております。
が、コメントを書くのは初めてです。
仙台の弁護士で、LSの教授でもあります。
上記シンポには私も参加し、質問もしましたが、リピーター論は弁護士の実感からはそのようには言えず、「当事者自身により迅速効率を実現する諸規定の利用の消極性を説明する一要素」とは到底考えられません。
そこで、代替方策の利用等、消極性の原因を説明した意見が多かったと思います。
私は、伊藤教授のまとめにこそ疑問を持ちました。

投稿: 小野純一郎 | 2005/05/23 14:16

 私も、自分の実感としても、自分の同僚を観測した結果からしても、「山浦モデル」はそもそも現実離れをしていたように感じました。

 

投稿: 小倉秀夫 | 2005/05/24 09:01

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