proc_civ:民訴学会(2)
一日目の個別報告は全部で4本。
個別報告3
近藤隆司「倒産手続と消費税---ドイツの状況を手がかりとして---」(司会:中島弘雅)
倒産処理過程における税務の取扱は、破産法について大きな改革が加えられ、すべて財団債権という体制から転換した。この報告は消費税の取扱についてクリアな検討を加えたもので、その他の諸税についても取りまとめた業績発表が待たれるところである。
個別報告4
畑一郎「法科大学院における民事訴訟実務教育について---実務家教員としての一年間を振り返って----」(司会:坂田宏)
東北大学法科大学院のみなし専任である畑判事の、かなり赤裸々な報告であった。要件事実をめぐる問題点に議論が集まってしまったが、実務家教員と研究者教員の協働のあり方など聞きたいことはたくさんあった。
それにしても、法科大学院学生の中に、理論教育(というか実定法学の基礎)の理解の必要性について軽視し(暗記すれば足りると考えているらしい)、他方で実務教育は要件事実と書類の書き方だけ知っていればできると思っている者がいるらしい、というのはオドロキである。またサンプル問題を見て、実務に傾斜していると感じ、法律学基礎科目の理論教育を軽んじる傾向もあるようだ。別のところで聞いた話では、刑事法のサンプル問題に対して予備校がおしなべて間違った(出題者の意図を正解しない)解説やら対応やらに終始しているということだが、これについては出題者側が反撃に出るらしい。
畑判事も報告で述べていたが、実務家に要求されるのは判例が確立している分野の解釈論だけではなく、分かれていたり新しい問題であったりしても解決を付けるなり依頼者の利益のために攻撃防御を構築したりしなければならないし、判例がある場合においても必要ならそれに一致しない解釈論を展開する必要がある。そうした能力を養うのに、判例通説暗記主義では役に立たない。もちろん判例や実務の取り扱いを知らないのでは話にならないのだが。
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コメント
ただ、予備校の解説が間違っているからといって、その間違いに乗った人間は合格させず、その結果合格者が1人になってもいい、ということにはならないのでしょう?きっと。
1500だろうと3000だろうと、そういう人数が上限ではなく下限の意味も持つこと自体に問題があるのではないかと。
研修所卒業者を新任判事補や検事の採用給源とするという足かせさえなければ、毎年の合格者数にばらつきがあっても問題ないんですがね。
投稿: h | 2005/05/23 12:05