jugement:もう一つのウィニー訴訟
札幌地判平成17年4月28日
北海道警所属の巡査が所有する私物パソコンに捜査関係資料が記録されており、それがウィニーによるウィルス感染で外部に流出したという事件について、捜査対象だった未成年の男性が国家賠償を求めた訴訟である。
判決では、巡査の過失によるものと認め、国家賠償40万円を認容した。
しかし、パソコンの管理体制に不備があったという主張については退けた。
(読売) http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050428i404.htm
本来捜査関係資料の管理と秘密を守るべき責任は当該捜査機関にあるのであって、秘密文書は持ち出したりコピーしたりしないように、きちんと管理することを怠っていたのは十分過失と評価できる。捜査関係資料を持ち出す必要がある場合には、ピストルなどと同様に、必ず公費で貸与した端末でパスワード管理や外部機器接続ログの管理を施し、帰庁したら漏洩の跡がないことを確認して返還する程度の管理はなすべきである。
情報管理は、各構成員の自覚と責任に任せておけばよいと言う時代でないことぐらい、民間企業では当たり前となっている。民間企業でそれが当たり前になるのは、もちろん情報漏れによる被害を直接企業が受けるからだ。役所の保管する情報は、役所自身の利益のために秘密にしていると言うよりは第三者のためのことが多く、要するに人ごとだからおざなりにしていられるのであろう。
そこに秘密保護が重要だというインセンティブを生じさせるには、漏洩が起こったときの責任を役所自体に厳しく問うしかないのだが、今回の札幌地裁の判決はその期待を裏切るものである。
| 固定リンク
「法律・裁判」カテゴリの記事
- フランスの司法信頼度調査2024(2025.11.07)
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- 民事裁判IT化:“ウェブ上でやり取り” 民事裁判デジタル化への取り組み公開(2023.11.09)
- BOOK:弁論の世紀〜古代ギリシアのもう一つの戦場(2023.02.11)
- court:裁判官弾劾裁判の傍聴(2023.02.10)


コメント
おっしゃるとおりですが、巡査までがWinnyを使っていた事実に驚きます。この人の使用状況を捜査すれば、送信可能可権の侵害もあったのではないでしょうか。
投稿: 井上 | 2005/05/07 14:36
まあそれは巡査がどれほどウィニーを使っていたかによりますね。
ちなみに、この前の公判で47氏の弁護団は、47氏がパソコンを押収されて開発が止まったため、ウィルス対策が施せなくなっていると指摘されていました。
投稿: 町村 | 2005/05/07 14:53
個人情報保護法についての新聞記事を見たい。
投稿: 坂本 | 2005/06/27 15:55