LS信州大学の虚偽申請疑惑
信州大学のロースクールでは、設置申請の際に教員の論文として未完成のものを完成したと記載していたとして問題になっている。
http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY200504020247.html
朝日新聞の記事によれば、21人中5人の個人調書に、未完成の論文概要が記載されていたという。そして以下のように報じられている。
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編集担当者は「各先生に原稿提出を何度も督促したが、『9月にあがればいい』などと言われた」と話す。
一方、又坂学部長は「申請前は準備のため忙しく、論文ができていなかった」と話している。
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これが事実であれば(最近の朝日の報道ぶりからすると、イマイチ信用がおけない気もするが)、事実関係には争いがなく、評価の問題なのかもしれない。
そして、遅れたとはいえ論文は完成したのだから、結果的に瑕疵は治癒されるというのが大学の見解ということになるのだろう。
これが学生のレポートなどであれば、期日に遅れても成績を付ける期限までに出せば何とか認められる。いやいや、表だっては認めないが、色々事情があれば考慮するだろうし、その事情には忙しかったとか、卒業がかかっているとかいうのも加味されるかもしれない。
一般社会から見れば、およそ考えられないくらい甘い考え方だが、大学生にはそのように接してしまいがちであることは否定できず、また実害がなければ設置申請の場でも通用するだろうと考えたとしても不思議はない。
また、既に信州大学の法科大学院は入試も実施し、在校生がいるはずだ。今さら設置認可取り消しはできないだろうという観測も成り立つ。
奇しくも大学の倒産に備えた在学生救済措置の案が文科省からパブリックコメントに供されている(School Insolvency参照)が、それとは別の話である。
なんとも居心地の悪いニュースである。
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コメント
朝日がいまいち信用できないなら、
毎日と読売で。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20050404k0000m040058000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050403i212.htm
日経はまだみあたりませんでした。
投稿: tedie | 2005/04/03 23:18