jugement:和泉流お家騒動
社団法人「能楽協会」から退会命令処分を受けた狂言師の和泉元彌が、処分の無効確認と、同協会と理事8人に計2億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が裁判所ウェブに公開されている
東京地判平成17年3月17日
民訴的に注目すべき判示
「被告Aにおける原告の処分は団体の構成員に対する内部統制としてされたものであり,本件決議の当否は,基本的にはその内部規定に照らし,そのような内部規定が存在しないか,又は,その内容が公序良俗に反するなどこれを適用すべきでないときは,条理に照らして,適正な手続によってされたかについて判断すべきである。
ただし,本件では,原告に対する処分は最終的に退会命令処分としてその会員としての地位を失わせるに至るものであることからして,手続面に加えて,処分内容である実体面についても,被告Aの裁量権の濫用ないし逸脱に当たるかを検討した上,本件決議の当否を判断すべきである。」
つまり、社団法人の団体内部統制としての決議は、その当否を直接判断することは司法審査に必ずしも馴染まない。一種の部分社会の内部規律としての判断だからである。ただし、その団体の規定に照らして適正な手続でなされたかどうか、という手続面は司法審査に馴染む。そしてまた、裁量権の濫用逸脱ということがあれば、その限度では判断ができる。そうでなければ、原則として司法審査に馴染まないというわけである。
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