jugement:動物と湾は原告になれない
営諫早湾干拓事業(長崎県)で「動物の生息地が奪われる」などとして地域住民4人がムツゴロウ、シオマネキ、諫早湾などを原告に加えて、事業差し止めを求めた訴訟の判決が、平成17年3月15日に長崎地裁であった。
先例として、イリオモテヤマネコ原告訴訟判決がある。前田順司裁判長による東京地判平成15年2月26日は、次のように述べている。
「1 本件訴えは,沖縄県八重山郡a町付近に生息するなどする前記22種の動物を原告として提起されたものである。
2 しかしながら,当事者能力については,民事訴訟法28条が,当事者能力は,同法に特別の定めがある場合を除き,民法その他の法令に従う旨規定するところ,民事訴訟法及び民法その他の法令上,自然物たる動物に当事者能力を肯定することのできる根拠を見いだすことはできず,したがって,自然物たる動物である原告らに当事者能力を認めることはできないといわざるを得ない。
3 よって,本件訴えは,当事者能力を有しない者を原告とする不適法なものであり,その不備を補正することができないから,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を経ないで本件訴えをいずれも却下する」
またこの種の訴えで有名なのは、なんといってもアマミノクロウサギ訴訟である。
動物や川、湾などを原告として訴えを提起するのは、注目を集め、世論に訴えるという点で多少とも有効な手段であり、また環境権という主観的な権利ではない権利概念には、その主体を人よりも自然物にした方がなじみやすいという理論的利益もある。
もちろん現行法制度の予定するところではないが、裁判という現象のインパクトは無視し難いところがある。
参考:自然の権利
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