jugement:井上薫判事、また当事者として登場
東京地判平成17年2月18日
井上薫判事は、雑誌で、判決に影響を及ぼさない違憲判断を示すのは蛇足だという趣旨の発言をし、名誉毀損だと訴えられていたが、東京地裁はこの請求を棄却した。
毎度お騒がせの井上薫判事だが、週刊新潮の記事内容を確認出来ないので確かなことは言えない。
しかしこの判決の内容は、報道で分かる限りは正当であろう。特に違憲判断を傍論で書くのは、抽象的違憲審査を任務としていない司法裁判所にとって、かなり重大な権限逸脱というべきである。権限の濫用といってもよいかもしれない。
書きたければ、判決という公式文書ではなく、井上薫判事同様雑誌に書くとか、あるいはプログで書いてはどうか?
私も総理大臣が靖国参拝するのは政教分離に反すると考えているし、中曽根時代の仙台の違憲判決には一市民として楽しませて頂いたが・・・。
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コメント
井上薫氏やあなたは、ムートネスとか「繰り返されるが、審査を免れる」(capable of repetition yet evading review)をご存知ないのでしょうか。
具体的な事件は存在し、しかも、憲法81条が、違憲審査権を留保なしで認めている以上、「裁判所が抽象的審査制だから傍論で何もいえない」というのは、ハッキリ言って「珍説」だと思いますよ。じゃ、朝日事件の「念のため」以下はどう説明しますか?
投稿: ahoo | 2005/02/28 14:28
失礼。
>「裁判所が抽象的審査制だから傍論で何もいえない」
っていうのは
>「裁判所が抽象的違憲審査になるからといって、傍論で何もいえない」
というべきですね。
ま、週刊新潮に載ってる記事なんて最初から信用できませんけど。
もちろん裁判批判が名誉毀損にあたるとは思えないので今回の判決自体には文句がありません。
投稿: ahoo | 2005/02/28 14:34
日本の裁判制度は理由中の判断に拘束力も不服対象としても認めていないですからねぇ。
一審裁判官が請求棄却しときながら原告の違憲論の主張を認める理由を付けても、上級審の判断は仰げません。
憲法はそのような違憲判断を予定していないと思いますよ。
もちろん事情判決のようなケースは別です。
投稿: 町村 | 2005/02/28 18:25