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2005/02/28

IT消費者取引の特徴

とある研究会でIT関連の消費者トラブルの特徴を考える機会があった。以下はその記録である。

1.取引関係者が極めて多数に及ぶ。コンピュータやソフトウェアの売買でも制作者が多数存在するが、ネットワーク関係の契約および情報の流通経路には極めて多数の関係者が複雑に関与する。
 この点では紛争の相手方が誰なのか、何らかの被害が生じたときに誰を責任者として訴えればよいのかがはっきりしないことになり、いきおいディープポケットとなる者や表面に出やすい媒介者の責任を追及することになりやすい。

2.高度先端的な技術が用いられているため、消費者にはブラックボックスとなる。とりわけパソコン、携帯電話、ソフトウェアなどは全く仕組みを理解しないまま効用のみを期待して購入し、必要な操作を理解できなかったり、あるいは価格に含まれている機能を十分利用できなかったりする。
 高度な機能を有する装置を購入したからといって先物取引のような損失につながるわけではないので、適合性原則のような考え方はとれない。しかしそのような機能をあたかも簡単に操作できるように告げて売りつけた場合には、それが可能となるまでサポートに走り回る義務があると解すべきだろう。

3.ネットワークによる取引では、遠隔地との取引、場合によっては海外との取引を消費者自らが行いやすい。
 特に海外取引の場合は準拠法の問題が出てくる。強行法規の特別連結ということが一時いわれたが、消費者保護立法は消費者の常居所地法を準拠法とする立法があってもよい。ただし、ネットワークによるグローバルな商売には相当のリスクがつきまとうし、外国との司法摩擦が生じる可能性が高いが。

4.自室のパソコンで一人で、またキーボードの入力やクリックといった手軽な手段を用いるので、効果意思が十分成熟しないで意思表示をしてしまう。
 このことは、一般の通信販売と異なり、クーリングオフの適用を根拠づける事実である。

5.消費者自身が加害者となりうる。特にセキュリティを意識的に高めておかないと、故意の加害者ないし犯罪者として扱われる可能性もある。
 この点も、販売業者がサポート義務を負うものとしないと、無防備な消費者が思わぬリスクにさらされることになる。

6.消費者取引において、証拠の確保は必ずしも容易ではない。年に一度のオンライン取引ということであれば画面を保存することも要求できるだろうが、オンライン消費者取引が普及していけば、いちいち取引過程の画面を保存しておくことなど要求できない。また、クリックミスのような場合にはそもそも画面の保存によってミスであることを証明することはできない。
 取引過程の立証については、サーバ・コンピュータや消費者自身のパソコンの履歴追及によって明らかにしていくことが望ましい。そのためにはデジタル・フォレンジック技術も有用である。ただし、事業者のサーバについて検証受忍義務を特に立法しておく必要があろう。

 このほか、どのような視点があり得るだろうか?

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