iPodねらい撃ちの著作権法改正検討課題
文化庁文化審議会著作権分科会の法制問題小委員会は17日、16項目の検討課題をまとめた。その中に補償金制度の拡大も含まれている。
報道によれば、 CDやDVD、MDなどデジタル機器や媒体の売り上げに応じて、メーカーが著作権管理団体に一定の補償金を支払う仕組みの補償金制度について、iPodなどハードディスクやフラッシュメモリーを使っているデジタル携帯音楽プレーヤーには対象外となるため、支払い対象への追加を検討するとされている。
これが実施されると、iPodへの音楽データ移転についてもメーカー経由で著作権料を支払うということになる。
しかしながら、これまで補償金を取られていた機器等を見ると、次のようなものである。
録音機器
DAT(デジタル・オーディオ・テープ)レコーダー
DCC(デジタル・コンパクト・カセット)レコーダー
MD(ミニ・ディスク)レコーダー
CD-R(コンパクト・ディスク・レコーダブル)方式CDレコーダー
CD-RW(コンパクト・ディスク・リライタブル)方式CDレコーダー
記録媒体=上記の機器に用いられるテープ,ディスク
つまり、録音する機器と録音媒体とが補償金の対象となっており、これはすなわち大量に録音して流通される場合の、せめてもの対価徴収を保障する仕組みであった。
ところが、iPodは、そのような録音装置でもなければ録音テープでもない。基本的に、保有する音楽データを音として聴くための装置であり、iPodを使ってディスクを作成することもできなければ、大量のiPodに録音して頒布するということもおよそ考えられない。
この場合、レコーダーに相当するのはコンピュータであり、コンピュータに補償金を課すというのであれば筋が通るが、iPodに補償金を課すというのはどうも筋が通らない。
審議会の小委員会の皆さんは、そのあたりの事実関係を正しく認識した上で、この報道されたようなことを考えているのか、大いに疑問である。
ちなみに、該当の審議会情報は文科省文化審議会のページで見られる。但し、17日の議事録や資料はまだだが。
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