« Mac Miniの誘惑 | トップページ | NHK嘘をついているのはやはり・・ »

2005/01/18

Arret:破産債権と停止条件付債務の相殺

最判平成17年1月17日は、債権者の負担する停止条件付債務が破産宣告後に条件成就した場合に、破産債権を自働債権、停止条件付だった債務を受働債権として相殺することができるとした。

判決要旨は以下のとおり。
 「旧破産法(平成16年法律第75号による廃止前のもの。以下「法」という。)99条後段は,破産債権者の債務が破産宣告の時において期限付又は停止条件付である場合,破産債権者が相殺をすることは妨げられないと規定している。その趣旨は,破産債権者が上記債務に対応する債権を受働債権とし,破産債権を自働債権とする相殺の担保的機能に対して有する期待を保護しようとする点にあるものと解され,相殺権の行使に何らの限定も加えられていない。そして,破産手続においては,破産債権者による相殺権の行使時期について制限が設けられていない。したがって,破産債権者は,その債務が破産宣告の時において期限付である場合には,特段の事情のない限り,期限の利益を放棄したときだけでなく,破産宣告後にその期限が到来したときにも,法99条後段の規定により,その債務に対応する債権を受働債権とし,破産債権を自働債権として相殺をすることができる。また,その債務が破産宣告の時において停止条件付である場合には,停止条件不成就の利益を放棄したときだけでなく,破産宣告後に停止条件が成就したときにも,同様に相殺をすることができる。以上のように解するのが相当である。
 これを本件についてみると,前記事実関係によれば,被上告人は,破産者が破産宣告を受けた時点において,番号22から47まで及び番号50から52までの各保険契約に基づき,満期が到来したときは満期返戻金を支払うべき期限付債務を負い,かつ,番号22から52までの各保険契約に基づき,解約されたときは解約返戻金を支払うべき停止条件付債務を負っていたところ,番号22から24までの各保険契約については破産宣告後に期限が到来し,番号25から52までの各保険契約については破産宣告後に解約により停止条件が成就したものである。したがって,特段の事情の存在がうかがわれない本件において,被上告人は,上記各債務に対応する本件返戻金債権合計2229万1040円を受働債権として相殺をすることができるというべきである。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができる。所論引用の判例(最高裁昭和45年(オ)第449号同47年7月13日第一小法廷判決・民集26巻6号1151頁)は,事案を異にし本件に適切でない。論旨は採用することができない。」

しかし、判決中にある最判昭和47年7月13日は、会社整理の事案ながら、一般論として条件成就により債務負担と認めるべきだから相殺禁止に触れるとしており、この判決とは矛盾する。
もっとも事案は譲渡担保の精算金が破産宣告後に発生したというケースであり、学説も精算金の発生不発生が不確実であるが故に相殺期待は生じない、だから相殺禁止に該当してよいとしている。

本判決の事案は火災保険詐欺を企てた破産者の不法行為による賠償債権を自働債権とし、火災保険の満期と解約による返戻金を受働債権とするものなので、相殺の期待があるといっていいのかないと言っていいのか、迷うところだが、譲渡担保について下された判決の射程外にあることは認められそうである。

|

« Mac Miniの誘惑 | トップページ | NHK嘘をついているのはやはり・・ »

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/2614378

この記事へのトラックバック一覧です: Arret:破産債権と停止条件付債務の相殺:

« Mac Miniの誘惑 | トップページ | NHK嘘をついているのはやはり・・ »