民訴の問題
レポート課題です。
(問題1)
Xは、Yに対して売買契約に基づくアンティークの引渡を求める訴えを提起した。Yは、そのような契約をした覚えがないと否認。Xは契約書を証拠として提出し、そこにはY代理人Aの署名捺印があった。YはAが勝手にやったことと反論したが、Xの提出したBの陳述書には、Aが数年前までYの代理人としてYのアンティーク商品買い付けと売却を行っていたことが記載されていた。
弁論準備手続において、両者の主張は次のようにまとめられた。
(Xの主張事実)
Xは代理人Aを介してYとの売買契約を締結した。
仮にAが本件売買契約に関する代理権を有していなかったとしても、Aは数年前までYの代理人であったのであり、Aが代理権を失ったことを知らないXには民法112条に基づく表見代理が成立する。
仮にAがYの代理人となったことがなかったとしても、代理人としての表示がなされていたので民法109条の表見代理が成立する。
いずれにしてもXはAに代理権がないことを知らなかったし、その点に過失もない。
(Yの主張事実)
Yは、Aを代理人としたことはなく、代理人としての表示を与えたこともない。
XがAをYの代理人と信じたとしても、そのように信じる根拠はなく、過失がある。
証人としてはAとBとが採用されたが、肝心のAは行方不明で呼び出しできず、本人尋問の外はBのみを尋問することになった。
口頭弁論における証人尋問で、Bは、Xの主尋問に応えて、AがY代理人としての資格証明書を保有していたこと、Aを通じた取引でYとの間に何の問題もなかったこと、XにはBがAをYの代理人として紹介したことなどを証言した。しかしYの反対尋問に対して、Xより以前の取引でAは代理人として署名捺印していたわけではなく、契約書は最終的に直接Yとの間でなされていたこと、Aを通じた取引はXの前に1年以上途絶えていたこと、そのことはXにも説明していたと証言した。
本人尋問でXは、従前の主張通り陳述したが、YはAがYの使者として行動していたことを認めつつ、その関係は数年前に解消したこと、その当時も代理権は付与していなかったこと、そしてXとの関係では使者としての行動すらなく、AからもBやXからも一度も連絡がなかったことを陳述した。
裁判所は、判決において、Aが実質的にYの代理人であったと認定し、その代理権はXとの取引以前に終了していたが、XはBの説明によりYに代理権があると信じたと認定した。その上で、XがYに連絡して確認すべきだったにもかかわらず、Yの陳述によれば確認作業をしていないことは過失があるとして、表見代理の成立を否定し、請求を棄却した。
この判決について、民事訴訟法上の問題点を論じなさい。
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コメント
>XはBの説明によりYに代理権があると信じたと認定>した。
もちろんXはAに代理権があると
信じたんですよね
?
投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/12/25 15:25
壇先生!
ありがとうございます。早速受講者向けに流さねば。
投稿: 町村 | 2004/12/25 17:48