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2004/12/23

news:英会話学校に丸投げする大学

いやー、石原都知事の大学はすごいことをやるものだ。朝日新聞のニュースによれば、首都大学東京の売り物である英会話と英作文のクラスがベルリッツに半分以上丸投げされるとのこと。

それもただ外部講師を招くのではなく、授業の内容から講師の履歴まで一切を首都大学東京が責任を持たない。

ベルリッツの用意する教材を使い、講師も履歴書や面接をすることなく一方的に送られる人にまかせ、授業内容についての打ち合わせすらしないとのこと。

要するに、キャンパス内に一定時間ベルリッツの教室が開設されるというわけだ。

首都大学東京というところは、そのように自らが責任を持つわけでもない英会話学校の授業を受けたことで単位を認定するということなのだが、それなら何も八王子の山の中でやる必要すらないのではないか。
東京山手線内外に便利な立地を誇るベルリッツで都合のよい時間に都合のよい場所で授業を受けて来れば、それで単位認定することにした方が、みんなハッピーだろう。

もっとも大学が専門学校の授業と連携して単位認定するというような話は、昨今珍しいことではなくなってきているので、非難したり驚いたりすることではないのかもしれない。
でも、やはり「都立大学」だったところが、それも目玉商品だという授業を、他に丸投げするというのはサプライズだ。そして石原都知事が命じた人員削減の帰結なのだとすると、結局彼のした都立大学統合は、組織をめちゃめちゃに引っかき回したあげく英語教育すら自前でできない大学を作り上げたと評さざるを得ない。

元都民としては情けない限りだ。

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学問・資格」カテゴリの記事

コメント

町村 先生

こんにちは。

先日は、大変お世話になりました。

話題の「まる投げ」は、それ自体の当否はあるにしても、要するに、大学でどのような英語教育をすべきかという要求仕様についての社会の認識の変化があり、それを反映したものだろうと思います。

かつては、「英語学者が(英会話や英作文ではなく)英語学を教えること」が大学における「英語教育」であると考えていた時代があったかもしれません。
しかし、よく考えてみると、これは、要求仕様を受けて教育内容を設計、構築、実装すべき立場の人々が自分で勝手に要求仕様を定めていただけのことかもしれません。システム論的に考えてみると、そのような発送それ自体が間違っていることは明らかです。専門家は要求仕様を受けて基本設計と詳細仕様の設計をするだけのことで、要求仕様それ自体を自分で決めてしまうと、「お手盛り」みないなものや「机上の空論」みたいなものや「砂上楼閣」みたいなものになってしまいがちなのは当然のことですね。

私は、現実に存在する要求仕様については、「英語学」ではなく単純な「英会話」や「英作文」の能力の習得を求める学生が圧倒的多数であるし、また、卒業後の就職先である企業からもそのような要望が強いと理解しています。
したがって、「英語学」ではなくそのような会話や作文の能力の付与をもって大学の単位として認定するか、または、そもそも大学における単位認定科目から「外国語」そのものを外してしまうかのいずれかがよいのではないかと思っています。

もちろん、その場合でも、任意選択科目としての「英語学」の重要性や有用性を否定する気は全くないし、そのための専門家の育成や研究支援も大いに続けていくべきでしょう。
個人的には、「英語学」や「英文学」などについてもしっかりと勉強した学生でなければ、学部の専門科目(通例3~4年生)や大学院等で学生を指導する気にはなれません。
いわゆる受験英語ではなく正しい英文法をしっかりと身につけていない学生、あるいは、英語の文を正しい日本語で翻訳し表現する能力が著しく欠けている学生が多発している昨今の状況を見ると、ますますそう思います。

なお、「英会話」や「英作文」を外注することの愚については、町村先生のご指摘に全面的に賛同します。
そもそも、私は、大学入試の段階から英語能力検定試験の認定証をもって入試試験成績の一部として評価してもよいと思っているくらいですので、もし「英会話」と「英作文」を外注するというのであれば、大学内で「まる投げ」授業を実施するのではなく、外部の適切な機関で能力検定をしてもらえばよいと思います(もちろん学費支払能力のない学生のために、英語学校などに対して大学内に場所提供をすることはかまわないでしょう。)。
そのようにしたほうが、すでに十分な能力のある学生は、英語学校に1日も行かないでも単位を取得することができますし(認定結果のいかんによっては飛び級を認めてもよいでしょう。)、その能力をまだ身につけておらずしかもしっかりと勉強もしないような学生は単位を取得できなくなり結果的に卒業できないことになりますが、よく考えてみると、そのほうが合理的ですよね。

いずれにしても、大きな枠組みとしては、かつて大学における教育内容として求められていた高度なレベルの授業をすべての学生に対して提供するという考え方は、現在の受験者100パーセント大学進学時代では通用しないと思います。
かつての大学に求められていた高度な学問内容の付与という意味での大学教育をすべての学生に対して実施することは時代状況とずれてしまうことになるのでしょう。

私個人としては、やる気のない学生にはそこそこの授業を実施し、能力とやる気と余力のある学生には可能な限り高度な内容の授業をしっかりと提供するというやり方が適切だと思っています。そこで、大学におけるすべての科目を選択科目とした上で(つまり必修科目というものを廃止する。)、自分の人生をどうするかは個々の学生各人に考えさせ、それぞれの学生の勉強の結果は、卒業時点で発行される単位認定事項証明書に反映させる(つまり、卒業証書にはプラチナやゴールドやシルバーや一般などの区別がある世界を実現させる)ほうが現行のやり方よりもよいのではないかと思っています。

投稿: 夏井高人 | 2004/12/24 11:18

「就職に役に立つ」ということを重視すると、トイックかトフルで高得点をとれるようにするということになりそうですね。

投稿: 小倉 | 2004/12/24 13:05

小倉 先生

こんにちは。

いつもお世話になっています。

たしかに,就職だけを考えると,「トイックかトフルで高得点をとれるようにする」で必要十分なのかもしれませんね。

外国語教育について,私は,別のことも考えています。それは,いわゆる「英会話」教育だけをしっかりやっても,たしかに発音は良くなるかもしれないけれども英語で表現すべき内容についても教育したことにはならない場合が多いということです。
英会話教育によって日常の生活に困らない程度の会話能力は確かに身につくでしょう。
しかし,「仕事」で英語を使う場合には,まず,表現すべき内容を形成・確定し,その内容を英語なり日本語なりの言語を用いて「表現」するだけのことですので,内容の形成・確定ができなければ「ないようがないよう(内容が無いよう)」になってしまうのは当然の帰結ですよね。

それゆえ,私は,いつも「真の英知は,巨大な雑学の山の上にのみ宿る」と主張しています。

小さい頃から好奇心を養い,濫読に濫読を重ね,様々な実体験を積み,そして,自分自身を深く洞察できるようになること,それが大事なのだと思います。

現実に世界のいろんな会議に出席してみると,きちんとした内容の発言をしようとすれば,私のような非常にひどい発音(+めちゃくちゃな文法)の能力しか持ち合わせない人間の意見でも聞いてくれる人は聞いてくれます。逆に,どんなに流暢に英語をしゃべることのできる人でも内容が悪ければそっぽを向かれて何も質問もされない状態になります(質問を受けないということは,ゼロ評価またはマイナス評価を受けている可能性があるということを意味している場合が多いです。)。

企業にしても,英語でべらべら無駄話をすることのできる人材を求めているのではなく,鋭く深く考え,正確で適切な提案をし,円滑に人間関係を形成できる人材を求めているのであり,ただ,それが英語を用いてなされるべき場合でもそのような要請に対応できる人材が望ましいというだけのことなのではないかと思います。

大学における英語教育に関連する論議でも,本当は,人間として自分の頭でしっかりと正しいことを考えることのできる能力を養うための教育というものをまず構想し,そして,それぞれが考えたことを表現するための一方法としての語学の能力を養う教育の一部を構成するのに過ぎないものとして,英語教育というものをとらえる必要があるのではないかと思います。

投稿: 夏井高人 | 2004/12/24 14:28

 かつて塾でバイトしていた経験と、今の非常勤先での経験からなのですが。

 英語教育をやる前に日本語教育をやれ。

と、申したいところです。手段として英語を使えるかどうか以前に、ネイティヴなはずの言葉で単語の羅列しかできない者がけっこういます。イエスかはいで答えろとまで言わないと、答えが返ってきません。それなのになぜ英語の話が大きくなるのかが、そもそもよくわかりません。都立大学くらいのところなら、学生の日本語力には問題がないのかも知れませんけど。

投稿: ななしさん | 2004/12/25 18:30

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