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2004/12/28

Cyber相続法

指宿ブログ経由で知ったCNNの記事では、Yahoo!のメールサービスを利用していた人がイラクで死亡し、相続人である親がメールボックスのデータを要求したところ、断られたという。その理由は死者のプライバシーと通信の秘密というにある。

日本法では、どういうことになるか?
仮に契約者の死亡が契約終了事由になっていたとしても、それと同時に観念的には相続人が被相続人の地位を承継するので、被相続人が本来なし得る契約終了時のデータ引き渡し請求権があれば、これを相続人が行使できることになるだろう。この場合、プロバイダはデータ保存義務を負うのかもしれない。

厄介なのは、組合的な関係がある場合だ。例えばグループウェアの利用者一人が死亡した場合、その人が主契約者だったときは契約終了となりかねないが、他の参加者も同程度に主体的に関与していた場合には、その利用は保護に値するだろうし、グループウェアというのはそういう保護に値する利益を持つ人が当然出てくる利用形態なのだから、主契約者だけを相手にすればよいとは言えないようにも思う。
プログの場合はどうか。複数のライターで運営しているブログで、たまたま代表して契約している人が死亡してしまったら、残りの人々の利用権能はどうなってしまうのか?

銀行口座の名義人の死亡という場合と似たような処理になるだろうか?

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コメント

町村 先生

夏井です。

相続がらみの案件は,私も現実に担当したことがあります。

相続の問題は,単に民事上の法律問題だけではなく,犯罪捜査にも関係してきます。
たとえば,プロバイダとの契約者が死亡し,その死因に不審な点がある場合,捜査機関はプロバイダに対し,通信記録やメールボックスに残されているメールなどの任意提出をまず求めることになりますが,たいていの場合,通信の秘密を理由に拒絶されることになります(捜索令状があれば提出に応じるでしょうが・・・)。しかし,その死亡したユーザに相続人がある場合には,相続人がユーザの地位を包括承継しますので,その相続人の同意があれば任意提出が可能になるはずですね。そして,たいていの場合,相続人も真相の解明を求める気持ちのほうが強いので,その相続人から同意を得て,犯罪捜査のために残されたデータを提供することが可能になると思われます。このことは,死亡したユーザが自殺したように見える場合でも同じです。

他方,別のblogでも書いたとおり,個人情報保護法上の個人情報は生きた人間に関する情報でなければならないということになっているのですが,特定の個人が死亡すれば,その個人が有していた個人情報に関する権利も相続人に包括承継されますので,実は,本人の死亡によってすべてが終わりになるということは,法律上は,あり得ないことなわけです。

このように,相続に関する問題はいろいろあります。町村先生がご指摘のグループウェアの場合の対処などは,そうした法律問題の中でも比較的難解なものの一つかもしれません。事案によっては特定の法人が権利者である場合もあるでしょうし,事案によっては権利能力なき社団のようなものを考えなければいけなくなるでしょうし,また,事案によっては匿名組合のようなものを想定しなければいけないでしょう。

というわけで,プロバイダの法務部は,一般的な民事法に関する処理能力を大幅に強化しておかなければならないということになりそうです。

投稿: 夏井高人 | 2004/12/28 13:02

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