« sympoフォレンジックコミュニテ | トップページ | bankruptcy:特定調停の使い方 »

2004/12/20

arret:最高裁、違法な課税処分による弁護士費用の賠償を認める

最判平成16年12月17日は、課税処分の違法を理由とする国家賠償請求訴訟について支出された弁護士費用が当該処分と相当因果関係のある損害であるとして、原判決は破毀差し戻した。

事案はいささか奇妙な点がないわけではないが、簡略化していうと、学校法人の理事が、学校法人の所有名義の建物について固定資産税を課税された賦課決定を受けたので、その取消を求めて審査請求し、埒があかないので国家賠償請求訴訟を提起して納税額の返還と慰謝料、弁護士費用を求めたというもの。

その訴訟係属中に、賦課処分は取り消されて、過誤納税金の返還がなされたので、慰謝料と弁護士費用の請求に縮減された。

原審は、不当な賦課処分には課税処分取り消しの訴えを提起すればよいので、行政庁の違法な処分により国家賠償請求訴訟の提起を余儀なくされたとはいえないとして、請求棄却。

最高裁は、次のように述べた。
「事実関係の下において,上告人が本件訴訟を提起することが妨げられる理由はないというべきところ,本件訴訟の提起及び追行があったことによって本件課税処分が取り消され,過誤納金の還付等が行われて支払額の限度で上告人の損害が回復されたというべきであるから,本件訴訟の提起及び追行に係る弁護士費用のうち相当と認められる額の範囲内のものは,本件課税処分と相当因果関係のある損害と解すべきである。」

うーむ、本件訴えによって本件課税処分が取り消されたのは、事実上の関係があるに過ぎず、法的に結びついているわけではない。だからこの部分の理由は説得的でないように思うのだが、それ以前に、違法な課税処分により訴訟を通じた救済を余儀なくされたのだから、その弁護士費用も相当因果関係ある損害になるというレベルでは理解できる。

しかしそうだとすると、交通事故などと同様に、およそ、取消訴訟が認容されるときはそれに要する弁護士費用を国家賠償として請求できることになるのではないのか?
これは行政訴訟における弁護士費用の片面的敗訴者負担を実質的に承認する手がかりになるのではないか?

最高裁の判決文だけからは今ひとつ事案がはっきりしないが、何か誤解しているだろうか?

|

« sympoフォレンジックコミュニテ | トップページ | bankruptcy:特定調停の使い方 »

法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

 もともと取消訴訟ではなくて、納税額相当額の損害賠償請求(国家賠償請求)だったところがミソでは?
 交通事故損害賠償訴訟に喩えれば、保険会社が支払を渋っていたので、100万円の損害と弁護士費用10万円の損害賠償請求を提訴したところ、提訴後に、保険金として100万円が支払われた場合に、どういう判決が出されるか? やはり、判決では、本体損害100万+相当因果関係ある弁護士費用10万円と認定して、ただ100万円は弁済あったから、10万円の限度で認容・・・となるのではないでしょうか。

投稿: 増田尚 | 2004/12/23 23:48

増田先生、確かに国賠の事案ですけど、上の「」で引用した最高裁の論理は国賠に限られるものではないですよね。
取消訴訟だと取消まで公定力があるから云々という理屈も出てくるかもしれませんが、それでも違法な行政処分と取消訴訟との間の因果関係は文字通りあるわけだし。
今度行政訴訟を提起される機会があったら、弁護士費用の賠償を併合して請求してみてはいかがでしょう。

投稿: 町村 | 2004/12/24 00:08

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/31412/2324448

この記事へのトラックバック一覧です: arret:最高裁、違法な課税処分による弁護士費用の賠償を認める:

« sympoフォレンジックコミュニテ | トップページ | bankruptcy:特定調停の使い方 »