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2004/11/28

jugement:ここが悪かった中田キス裁判の報道

中田英寿と有名女優とのディープキス写真を掲載した雑誌について、プライバシー侵害訴訟が起こされるという趣旨の週刊現代記事が、重ねてプライバシー侵害とされたケースで、東京地裁がプライバシー侵害と認定した部分は次の通り。
東京地判平成16年11月10日

 「これに対し,原告指摘箇所(2)(BUBKA10月号の表紙の写真)のうち原告とCとが寄り添って座っている場面を写した写真を掲載した部分,同(3)(本件写真)のうち2枚の写真を掲載した部分,及び同(5)(本件雑誌の本文)のうち,最初の5行を除く部分(以下,これらを「侵害部分」という。)は,公表方法の相当性を欠くものといわなければならない。
 すなわち,原告のCとの親密な交際やキスの事実,特に濃厚なキスの事実及びその状況は,極めて私的な事項であり,プライバシー保護が要求される程度が高いものである。しかも,写真は,その情景をそのまま伝えるものであるため,文章による場合に比し,被害者の受ける苦痛がより大きくなると考えられる。これに対し,国民が,原告とコアマガジン社との社会的紛争につき,裁判所が適正な判断を行っているか否かを批判,論評するために,キスの状況やキスに至る経緯を詳細に知る必要はさほどないものである。したがって,原告指摘箇所のうち,キスの状況やキスに至る経緯を写真や文章で詳述した侵害部分は,公表方法の相当性を欠くものである。」

つまり、キスシーンの報道が裁判に持ち込まれているという趣旨の記事自体は全体として「公共の利害に関する原告とコアマガジン社との社会的紛争につき公益を図る目的をもってなされたものと認められる」し、上記部分を除けば公表の方法としても相当性があるけれども、上記のキスの状況やキスに至る経緯を詳しく書いた部分は公表方法の相当性を欠いている。
そしてさらに、比較考量として「Cとのキスの事実等を公表されない原告の利益と被告会社が原告のキスの事実等を報道する理由とを比較衡量すると,侵害部分については,公表されない利益が公表する理由に優越しているといわざるを得ない」と述べている。

裁判報道に関しての一つのモデルとなりそうな判断内容である。
まあ裁判報道がつまらないものになって裁判制度への一般の関心がそがれるという問題もあるかもしれないが、個人のプライバシーには勝てないというところであろうか。

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