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2004/11/24

jugement2ch勝訴例

勝訴例の東京地判平成16年3月11日は、かなり注目の判断内容であることに、今頃気がついた。

事案は2chに対談が大量転載されたというケースで、著作権侵害だから削除せよと出版元がメールを送ったところ、例によって削除人にいえという返事が返ってきたという事案である。
これについて、原告は削除と損害賠償を請求しているのだが、裁判所(三村コートで、大須賀さんも右陪席)はいずれも棄却した。
その理由は以下の通り。まず作為義務を負わないという点。
「著作権法112条1項は,著作権者は,その著作権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し,その侵害の停止又は予防を請求することができる旨を規定する。同条は,著作権の行使を完全ならしめるために,権利の円満な支配状態が現に侵害され,あるいは侵害されようとする場合において,侵害者に対し侵害の停止又は予防に必要な一定の行為を請求し得ることを定めたものであって,いわゆる物権的な権利である著作権について,物権的請求権に相当する権利を定めたものであるが,同条に規定する差止請求の相手方は,現に侵害行為を行う主体となっているか,あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者に限られると解するのが相当である。けだし,民法上,所有権に基づく妨害排除請求権は,現に権利侵害を生じさせている事実をその支配内に収めている者を相手方として行使し得るものと解されているものであり,このことからすれば,著作権に基づく差止請求権についても,現に侵害行為を行う主体となっているか,あるいは侵害行為を主体として行うおそれのある者のみを相手方として,行使し得るものと解すべきだからである。この点,同様に物権的な権利と解されている特許権,商標権等についても,権利侵害を教唆,幇助し,あるいはその手段を提供する行為に対して一般的に差止請求権を行使し得るものと解することができないことから,特許法,商標法等は,権利侵害を幇助する行為のうち,一定の類型の行為を限定して権利侵害とみなす行為と定めて,差止請求権の対象としているものである(特許法101条,商標法37条等参照)。著作権について,このような規定を要するまでもなく,権利侵害を教唆,幇助し,あるいはその手段を提供する行為に対して,一般的に差止請求権を行使し得るものと解することは,不法行為を理由とする差止請求が一般的に許されていないことと矛盾するだけでなく,差止請求の相手方が無制限に広がっていくおそれもあり,ひいては,自由な表現活動を脅かす結果を招きかねないものであって,到底,採用できないものである。」

また損害賠償請求についても、以下のように述べて棄却した。
「インターネット上において他人の送信した情報を記録し,公衆の閲覧に供することを可能とする設備を用いて,電子掲示板を開設・運営する者や,ウェブホスティングを行う者(以下「電子掲示板開設者等」という。)は,基本的には,他人が送信した情報について媒介するという限度で情報の伝達に関与するにすぎない。
したがって,電子掲示板開設者等は,他人が行った電子掲示板への情報の書き込み,あるいはウェブページ上における表現行為が,著作権法上,複製権,送信可能化権,公衆送信権の侵害と評価される場合であっても,電子掲示板開設者等自身が当該情報の送信主体となっていると認められるような例外的な場合を除いて,特段の事情のない限り,送信可能化又は自動公衆送信の防止のために必要な措置を講ずべき作為義務を負うものではない。」

うーむ、損害賠償請求権についてはともかく、差し止めすら認めないのなら、著作権者の利益は踏みつけになったままということなるなぁ。

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