法解釈論とたとえ話(Winnyとコピー機)
Winnyとコピー機の話を書いたら、更紗姫が次のように書いてくれた。
「町村様が、コピー機の幇助に触れてますけど・・・(;^_^A アセアセ・・・
喩え話を持ち出すなら、Winny関連の雑誌を取り上げたほうがいいように感じます。」
同じ日に但馬さんからも同趣旨のコメントをもらったが、私は別にたとえ話をしたつもりはない。
Winnyの開発者が、著作権侵害行為を容易に行えるツールを開発公表し、開発者から見れば不特定の誰かが正犯行為を行ったから幇助したといえるというのであるから、その理屈からするとコピー機のメーカー・販売関係者にも著作権侵害の幇助犯の嫌疑がかかるのではないかといっているのだ。
仮に、更紗姫や但馬さんがコピー機メーカー・販売関係者は幇助とならないと主張するのであれば、それはなぜかを教えてほしいところである。
そしてそのコピー機メーカー・販売関係者は幇助とならないという根拠が、Winny作者に当てはまるかどうかも、ついでに考えてみたいと思う。
なお、たとえ話というとなにやら本筋をはずれた話のように感じられるが、あるケースについて法解釈や適用の問題を議論するときに、類似する他のケースを持ち出してそれとの対比をしながら、他のケースでの解決例を参考にしながら本ケースについても解決のあり方を考えていくのは、法解釈論の通常のやりかたなのだ。
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コメント
コピー機が危険であれば、プリペイド携帯はもっと危険だ、ということになると思います。身近なものとの対比の中で、winnyの問題を考えることは、有益かつ必要なことです。
投稿: yjochi | 2004/10/01 11:07
そうですね。プリペイド携帯は犯罪に使う奴がたくさんいるってことなので、ドコモも撤退するらしいですね。
でも本当に「たくさん」いるのかは、疑問がありますけど。
例えば、プリペイド携帯が何万台販売されているかは知りませんが、販売時に申告した住所氏名が正確でない(偽名で購入する)割合というのは簡単に調査できるでしょうに、その上での撤退なのかな、と疑問に思います。
投稿: 町村 | 2004/10/01 11:44
陳述済みの準備書面に書かれていることは秘密でもなんでもないのでコメントしてしまうと、プリペイド携帯の話は、ファイルローグ事件の控訴理由書の中で触れていたりします。
ある定立された規範の妥当性を検討するにあたって、その規範を様々な例に適用した場合に望ましくない結果を生じさせないかをシミュレートしてみるというのは、非常にベーシックな手法なのですが、ネット上では理解されない方が多いですね。
投稿: 小倉秀夫 | 2004/10/01 11:46
更紗です<(_ _)>
プリペイド携帯に関しては、ドコモは今までにいろいろな対策を講じてきて本人確認も強化した結果、利用者数が減少しましたけど、犯罪に利用されるケースは後を立たないので名義貸しや転売防止強化するより撤退を余儀なくされたと思います。
最大手のボーダフォンは継続されるみたいですけど、今後も犯罪に利用されないような対策強化を講じなかったら幇助に当てはまると思います。
投稿: 更紗 | 2004/10/01 12:25
京都府警や京都地検の論理に「取り込まれ」すぎると、気がついたら、便利なものは何も使えない、不便、不自由な世の中になると思いますけどね。裁判所は、いまだにEメール使って仕事をすることすらできないので(そういう状態は検察庁も警察も同様)、不便、不自由な世の中を「不便、不自由」と感じないかもしれません。
投稿: yjochi | 2004/10/01 12:54
ちなみにプリペイド携帯とコピー機とでは、それによって実行が容易になった犯罪者の数が桁違い(コピー機の方が当然多い)ですけども、犯罪の当罰性とか悪質性・危険性といった角度で見ると逆に桁違いなんですよね。
コピー機じゃ誘拐はできませんから。ま、脅迫状の作成くらいには役に立ちますけども。
ところで、どこかの誘拐犯がWinnyを使って脅迫状をネットに放出して匿名で被害者宅に送りつけようとしたら、Winny開発者は誘拐犯の幇助ですか?
投稿: 町村 | 2004/10/01 13:07
京都府警や京都地検の論理で、世の中が不便や不自由になるのなら抗議したいなー!
京都府警や京都地検の論理で法解釈論ばかりしてたら、世の中がダメになっていく予感がしますね。。(T^T)
投稿: 更紗 | 2004/10/01 13:26
日本国内における多数説によれば、企業内における複製行為は、当該複製物を一人または少人数で使用する場合であっても、著作権法30条1項の適用を受けず、複製権侵害にあたると考えられています。
すると、テレビ番組の録画機能が付属しているビデオデッキやパソコンを企業に対し販売する家電、OA機器販売店は複製権侵害の幇助犯でしょうか?
投稿: 小倉秀夫 | 2004/10/01 13:33
でも農水省の課長さんの見解によれば、100人以上の職員にデッドコピーを配っても著作権侵害じゃないということのようですよ。
それも氏名表示権も無視してかまわんということのようだし。
さすがに飯村判事は認めなかったようですが、農水省課長さんはなお非を認めない構えだし。
お役所の中にも、著作権制度はおかしい、著作権違反行為を蔓延させて改革しようと考える官庁があるのかも。
投稿: 町村 | 2004/10/01 13:46
アメリカで銃が無くなれば銃犯罪は無くなるでしょう。日本で車が無くなれば交通事故は無くなるでしょう。でもこれらは必要悪ですよね。ウィニーが無くなれば、著作権問題は無くなる(?)でしょう。でもP2Pやその後に発展するパラダイムの恩恵も無くなる…やはり必要悪なのでは。そして開発者ではなくて利用者側の問題では。
投稿: hotpie | 2004/10/08 16:02