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2004/10/15

公共財としてのNetworkとプロ野球

朝日新聞のネット記事(http://www.asahi.com/sports/update/1015/004.htmlどうせすぐ見えなくなるので、リンクは張らない)によれば、プロ野球参入ヒアリングでライブドアと楽天に、検索サイトからアダルトサイトにアクセスできることが問題視された。違法サイトへのアクセスを「容認するのか」と詰め寄った巨人代表もいたらしい。
この人達は、もしかすると公共性とか公共財とかいうPublicということを誤解しているのかもしれない。

毎日のスポーツ記事では、次のように書かれている。

「ライブドア潰しに躍起になっていると一部で報道された巨人の清武英利球団代表は、ライブドア名義で製造・販売されたアダルトゲームソフトを”物証”として会場に持ち込み攻撃。アダルトがらみのやりとりは約30分にわたったという」

この清武という人がライブドアを嫌っているとか、アダルトサイトなりアダルトゲームなりを嫌っているというレベルの話なら、まあいいかと思うが、それに公共性という言葉をかぶせて個人的な見解を普遍の「良識」であるかのように言いつくろっているところが気に入らない。

ネットワーク関連企業、特にISP事業を手がける企業の中で、もっとも公共的なのは、コモンキャリアと呼ばれる通信事業者であり、ネットワーク上の通信内容には一切関与しないで通信経路を無差別公平に保障する。その通信内容には、真面目なものから不真面目なもの、文化的価値のあるものから無価値なもの、場合によっては犯罪に関わる通信すら含まれているが、その内容には一切関わらない。青少年への悪影響がいくらあっても、知ったことではない。
これこそが公共性というものである。

ISPは公然性ある通信を提供するので、その内容が不特定多数の者の評価にさらされる。そこで例えば犯罪を媒介するような通信があれば(例えば強盗や強姦の仲間を募るとか)、そのような通信を許しているプロバイダはけしからんという話になる。しかし本来怪しからんのは犯罪に関わっている人たちであって、そいつらが使った道具が怪しからんというのは本質的にお門違いなのだ。

この話はもちろんWinnyの幇助の話に関係してくるのだが、それは別にして、ISPが犯罪行為を抑止する方向で努力をするとなれば、やることは一つしかない。検閲である。
また巨人代表の清武という人の趣味に適合するようにネットワーカーの行動をコントロールしようとすれば、自サーバーでアダルト系のサイトを開設させないようにするとともに、全世界のアダルトサイトに対してアクセスできないようにフィルターをかけることになる。その場合キーワードでアクセス制限しようとすると、巻き添えを食うところが続出する。ポルノ関係や暴力を排除しようと思って「ポルノ」とか「バイオレンス」とかをNGワードにしてしまえば、DVを扱うこのプログもアクセス禁止になるだろうし、読売新聞のサイトも極めつけのエロサイトと格付けされてしまうだろう。

実際にはもう少しきめ細かいが、それでもコストの限界がある以上、アダルト系のみを排除することなど不可能である。

そして、なによりもそのように個人的趣味嗜好に合わせたフィルターをかけると言うことは、公共性をないがしろにして私的価値観を一般ユーザーに押しつける結果になるということを再確認すべきである。

この点、自らが編集しているという時点で本質的に「公共性」を失っているにもかかわらず、公共性、公益性、中立報道などの美名にこだわっている新聞マスコミ関係者には、なかなか理解できないところだろうと思う。というか、本質的に公共的ではない存在でも、公共性を追求することは悪いことではないのだが、一方で私的価値観を選び取る自由がメディア自身も含めた各人にあることくらいは忘れないようにしてもらいたいし、その選択の自由こそが「公共性」というものであるということを理解してもらいたい。

#なお公権力の公共性についてはパス。

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