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2004/10/26

LS週刊朝日の記事に思う

週刊朝日の11/5増大号に「法科大学院残酷物語」なる記事が載っていた。執筆者は甲斐さやかという人。

冒頭に「ほとんど詐欺のようなもの」という法科大学院生の声が紹介されているが、この人が本当に司法試験合格率7〜8割になるというのを信じて、仕事も辞めて法科大学院に入学したのだとすれば、お気の毒だが、浮世離れの人というしかない。
法科大学院の設置認可がおりたのは昨年暮れのことで、その時点で総定員6000人程度ということは明確になっていた。他方、現在の司法研修所を残して、その収容定員が3000人までしか増やさないということを法曹三者が合意していたことも随分前から明確になっていた。
それでも、合格率7〜8割を信じたというのだろうか? 本当にいたのか、こういう人は? 

理念型として挙げたのではなかろうか?
仮に実在するのだとすれば、この人は、一体どういうことを期待して法科大学院に入学したのだろう?

法科大学院の収容定員と7〜8割の合格率を所与のものとして、そこから合格者数を逆算して合格者数を決定すべきだというのか? 法科大学院が須く法曹としての基礎的能力を身につけた者のみを卒業させるという保証がない以上、法科大学院の収容定員を所与のものとして合格者数を決めるのは根拠がない。

解決策は、結局のところ、司法試験を資格試験に純化させ、合格定員を予め定めることをせずに、一定水準のものを合格させるという方式に改めるしかない。
コメントで指摘があったが、この様にするなら当然司法研修所という教育機関は維持しにくい。合格者の数に応じて、ある時は数百人、またあるときは数千人、修習させる方式が必要となる。実務修習は修習生受け入れ先を拡大するしかない。集合修習は、全くなくしてしまうというのも一案だが、それは不安だというのであれば、8ないし20校程度のロースクールから施設借り上げをして全国展開すればよい。

ついでに、司法試験も大検同様、科目ごとに受験できて合否認定がされて、ロースクールの単位修得後は在学中でも部分的に受けられるようにすれば、教育とリンクできてなおよい。

ともかく、7〜8割といっても出来の悪いのまで合格させるわけには行かないのは当然の前提で、現行試験の合格者数単純増員がダメなのは、その点に尽きる。そして法科大学院制度を導入しても、その教育力が高まる仕組みが備わっていない限り、事態は変わらないのである。

なお、第三者評価機関が教育内容と教育力の実際のところを厳しくチェックする体制になれば、話は別かもしれない。が、そのような厳しい評価をすると表明しているところは一つだけであり、ユルユル尻抜けの評価しかしない機関が第三者評価機関となるのであれば、全く期待できない。

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学問・資格」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
あるHPからここにたどり着きました。
私も週刊朝日の11/5増大号「法科大学院残酷物語」なる記事を興味深く読ませていただきました。

たしかに「ほとんど詐欺のようなもの」という法科大学院生の声が紹介されていますが、この方が本当に「司法試験合格率7〜8割になるというのを信じて、仕事も辞めて法科大学院に入学したのだとすれば、お気の毒だが、浮世離れの人というしかない。」とは、とうてい思えないのです。
 はたして、7割8割の合格率を信じていた人は、大きな人生の選択になるであろう法科大学院入学に際して、適切な情報収集と慎重な検討を欠いたのでしょうか。思うに昨年の秋から今年の春までの間に、法務省が2006年の新司法試験の合格枠をきちんと明示すればこの方は入学することはなかったのではないでしょうか。
  なぜなら、2006年度に受験する卒業生(2004年度既習生)が、少なくとも合格率が3割から4割になると言うことは2006年度の合格者枠が明示されてはじめて判断できるわけで、十分な情報を与えられずにやむなく決断を余儀なくされた人に対して「お気の毒だが、浮世離れの人というしかない」と切り捨てるのはいかがなものかと思います。
 法科大学院生を非難するのはやめていただきたいです。
不愉快なのは彼らのほうじゃないですか。
反省すべきなのは大学関係者のほうです!
 甘い幻想が一人歩きするにまかせ、受験者・入学者集めに活用しさえしたことについての責任は、大学関係者たちにあるのではないでしょうか。それを今になって、法科大学院生が幻想を抱いたことのみを取り上げるのは、自らへの批判をかわそうとする責任逃れに過ぎないと思います。
ちなみに、南山大学法科大学院の既習者・未修者の方たちの
中にも「お気の毒だが、浮世離れの人」はいると思いますよ。

投稿: いかないかん | 2004/10/27 17:02

いや、週間朝日の社会人はマヌケだろ。
ちょっと計算すれば、合格率が30%切るなんていう
ことはすぐに分かる。
社会人で家庭もあるのに、そんな簡単な計算もせずに
ローに飛び込むなんて、非常識極まりない。
正に自己責任。

投稿: 一般受験生 | 2004/10/27 18:50

私は週刊朝日の人は本当にいるのかどうか、疑っています。
法科大学院に入ってみたけど、うたい文句にあるようなきちんとした教育をしていない、詐欺だ、という文句なら理解できる。でも7〜8割の合格率というのは、少なくとも設置認可申請の段階でおシャカになったのが見えていたでしょうに。
ということで、週刊朝日の社会人法科大学院生というのは理念型ではないかと思うので、一般の法科大学院生たちを非難したつもりはまるっきりないんですよ。

投稿: 町村 | 2004/10/27 23:08

 
 町村先生、ご回答ありがとうございます。少々きつめの言い方になってしまったことを大変反省しています。

ただ、私には、今年法科大学院に入学した院生の内、週刊朝日のような院生が他にもいるのではないか、そしてこの院生たちが将来、法務博士で最終合格を果たせずに路頭に迷うという状況に陥ったとしたら、いったいどうなるのかを考えた場合、現状の法科大学院制度が、極めて無責任な体制になっていると思えてならないのです。

投稿: いかないかん | 2004/10/27 23:58

朝日のような人がいるかどうかは別にして、法務博士の非法曹がどのような進路に付くかを考えるのは、法務博士授与機関である法科大学院の責任だと思います。
ただ、法科大学院の教育は実務法曹の養成を目指しているので、他の進路も考えられるとすればプラスαのカリキュラムが必要となるでしょうし、そんな負け組を運命づけられているコースを誰がとるか、という気がしますけど。
結局、法曹養成に特化した教育機関として設計していることと、大量の非法曹を生み出すこととは矛盾するので、うまく行かないのですよ。

投稿: 町村 | 2004/10/28 01:53

 法務博士の非法曹のどのような進路に付かせるか?そんなことを最初に言っていれば、だれもロースクールに進学しようなんて思わないんじゃないですか?それとも教育する自信がもうないから、法曹以外の道を探してくれとか言ってるんですかね?やっぱり 教授なんかに法曹の養成なんて、できっこないってことを教授自信が認めているってことになるんじゃないんですか?そうなると やっぱり詐欺ですよね。教える能力が教授にないんだから。
 やっぱりできませんでしたといって以前のように学部で教えてりゃ~いいだろうけど、仕事を辞めた来た人をこんな扱いするなんて、やっぱり大学はダメでしたね。予備校に大学の資格を与えたほうが、よっぽどマシだったんですね。教授は教授らしく研究だけしていれば良かったのでは?新しい制度ができて教授に対して過剰に期待していたのが間違いだったのですね。

投稿: ロー製 | 2004/10/28 11:55

 教授に教える能力があるか否かの問題ではなく、単純な算数の問題ですね。法曹になれない法務博士が多数出現するというのは。現行司法試験枠を0人とし、2006年度から新司法試験の合格者数を3000人にしたところで、法科大学院でよくよく単位を落とさない限りは、法曹になれない法務博士が多数出てくることは制度上明らかなんですから。
 もちろん、法科大学院制度推進論者は、当初、法科大学院で優れた法学教育を受けた法務博士は、たとえ新司法試験に合格せず法曹となれなかったとしても、企業等から引く手あまたであると主張して、失笑を買っていたわけですが、それはとりもなおさず、法科大学院制度推進論者ですら、法曹になれない法務博士が多数輩出されることは当然の前提としていたわけで。。

投稿: 小倉 | 2004/10/28 23:11

またしても あなたとは意見が合いませんね。

投稿: ロー製 | 2004/10/30 13:45

やっぱり所詮他人事なんでしょうね。残念ながらこういうことあるので、ローには正直行きたくありません

投稿: 受験生 | 2006/07/05 03:48

こんな考えの教授に実際教えてもらってる生徒はどう思うのかな

投稿: 名無し | 2006/07/06 07:11

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