Book林屋・新民事訴訟法概要
東北大学名誉教授の林屋礼二先生が『新民事訴訟法概要』の第二版を出された。
この本の目玉は、巻末に付せられた「おわりに」である。
市民的自由主義を前提にできた近代民事訴訟法が、契約紛争を主たるモデルとし、公平適正を理念として処分権主義・弁論主義を基調としているのに対して、現代社会においては一方で実質的な平等が、他方では不法行為紛争の多発や現代型紛争が起こってきたことを背景に、変容していったと指摘する。その上で、平成民訴改正の新しい諸規定や、抽象的差し止めや弁論主義の適用範囲の拡張など、現在の理論上の重要論点を現代型「適正」理念の観点から位置付けている。
個々的には、例えば専門委員の位置付けとか真実義務の位置付けなど、私なりに別異に考えたいところはあるが、全体の流れとして分かりやすく、林屋先生の基本書を読み解く手がかりとなる。
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