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2004/10/15

arret:最高裁、水俣病の行政責任を認める

さすが最高裁、素早く、本日の水俣病裁判の判決が全文掲載されている。

判決内容は、大きく二点に分かれる。
第一は国の規制権限不行使の違法であり、以下の一般論を掲げる。
「国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である(最高裁昭和61年(オ)第1152号平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁平成元年(オ)第1260号同7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁参照)。」

その上で水質二法の規制権限は「当該水域の水質の悪化にかかわりのある周辺住民の生命,健康の保護をその主要な目的の一つとして,適時にかつ適切に行使されるべきものである」とする。

そして具体的な事実経過として、昭和31年の公式水俣病発見から3年間、国は,現に多数の水俣病患者が発生し,死亡者も相当数に上っていることを認識していた。また有機水銀の排出源がチッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造施設であることを高度のがい然性をもって認識し得る状況にあったし、排出していることも認識できる状況にあった。

そうだとすると、 昭和34年末には規制権限を行使すべき状況にあったのに、これをしなかった。このことは著しく合理性を欠くもので、国家賠償法上の違法性が認められるという。

第二は除斥期間の起算点で、先例の射程内ではあるが、次のように判示している。
「身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害されることによる損害や,一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病による損害のように,当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解するのが相当である。」

なお、上記の規制権限不行使の違法が認められる昭和34年末より前に転居した原告たちは、たとえ水俣病であっても国の違法な行為と損害との因果関係を認められないとして、請求棄却の一審が妥当だとした。

以上が判断内容なのだが、果たして国の認定基準に波及しないといえるだろうか?
原告らが水俣病患者であることが当然の前提で国の責任が認められたのであるから、彼らを水俣病と認めない認定基準は当然欠陥があるということになるのではないか。
環境庁は認定基準を見直すつもりがないというが、何を考えているのだろうか?

今、原判決を見ることができないが、そもそも未認定患者の原告らが認定されるべきことは原審段階で決着済みだったのではなかろうか?

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