違憲判決の遡及効はさすがに・・・
最高裁は、違憲判決を根拠として再審開始決定を下した大阪高裁の決定を破棄した。
最決平成16年9月17日→最高裁サイトに掲載されていたので、下に転載した。
しかし、最高裁は正面からこの問題に応えたわけではないようで、共同電によると「男性の再抗告は申し立て期間経過後に行われており、不適法というほかない」という理由で再抗告の却下をしたようだ。
なんか憲法の時間に習った憲法判断回避の準則で、憲法判断をしなくても手続問題で片が付くならそれでいけ、ていうのを思い出す。
ただこの場合は、特別抗告の申立自体も憲法判断を求めているわけではなく、再審開始要件である民訴338条1項8号の解釈適用の誤りを言っているに過ぎないのだろう。形式的には憲法解釈をいっても、それは無理だったのかもしれない。
そこで、本来であれば抗告却下となるはずだが、職権で原決定の手続違反を見つけて原決定破棄、再抗告却下の自判をしたというところだろうか。
ちなみに上告審において、原判決が控訴期間の徒過を看過して本案判決(控訴棄却)を下した場合に、上告人の上告理由と関係なく、職権で原判決を取り消して控訴却下の自判をした例として最判昭和43年4月26日民集22巻4号1055頁がある。
それにしても、もし原決定において再抗告期間の徒過という瑕疵がなかったら、あの荒唐無稽とも思える高裁決定が取り消されることなく先例になったのだろうか?
追記:最高裁サイトに掲載された判決文
「職権で検討すると,記録によれば,原々審(神戸地方裁判所)は,平成15年10月9日,相手方の再審請求を却下すべきものとした原々々決定(伊丹簡易裁判所決定)を取り消して,相手方の再審請求を棄却すべき旨の原々決定をし,同月20日,原々決定の決定正本が相手方に送達されたこと,相手方は,同月28日,再抗告状を原々審に提出して原々決定に対し再抗告(以下「本件再抗告」という。)を申し立てたことが明らかである。
再抗告の申立て期間については,再抗告の対象となる決定の内容が即時抗告又は通常抗告のいずれの抗告によるべき性質のものであるかにより,即時抗告期間内に申し立てなければならないか否かが定まるものと解するのが相当である。本件再抗告の対象たる原々決定は,再審請求を棄却した決定であり,仮にこの決定が再審裁判所でされたものであるとすれば,それに対する不服申立ては,民訴法345条2項,347条により即時抗告によるべきであり,したがって,原々決定の内容は即時抗告によるべき性質のものであるから,本件再抗告は,同法332条所定の即時抗告期間内に申し立てなければならないものというべきである。しかるに,相手方の本件再抗告の申立ては,前記のとおり,相手方が原々決定の決定正本の送達を受けた日から1週間経過後,すなわち,上記即時抗告期間経過後にされたものであることが明らかである。そうすると,追完を認めるべき事情も記録上何らうかがわれない本件においては,相手方の本件再抗告は不適法というほかはなく,原々決定を取り消し再審を開始すべきものとした原決定は,その余の点について判断するまでもなく,裁判に影響を及ぼすことが明らかな違法があり,破棄を免れない。」
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コメント
横浜地裁第2刑事部(矢村裁判長)は,横浜事件という治安維持法の弾圧事件の再審で,ポツダム宣言の受諾によって治安維持法が無効になったから,という新・法律判断のみで再審開始を決定しました。再審は事実の誤りを正す制度で,法解釈の誤りは非常上告とで正すという刑訴法を無視した判決でした。現在,東京高裁に係属中ですが,さすがに検察庁の即時抗告は,期限内に行われたようです。
投稿: 謎の現職 | 2004/09/23 00:06