天声人語盗用訴訟報道とメディアリテラシー
朝日新聞の天声人語というコラムで、ネットの記事を盗用したのではないかと週刊新潮が報じた件で、朝日新聞社は新潮社に名誉毀損訴訟を提起した。その判決が先日下され、二つの盗用例とされたケースのうち一つは盗用と信じるにたる相当の理由がないとして名誉毀損の成立を認めたが、一つは盗用と信じるにたる相当の理由があるとして名誉毀損の成立を否定した。
面白いのは、この判断に対する各メディアの報道ぶりだ。見出しと記事の一部を引用して見比べてみよう。
まずは朝日新聞。当然のことながら、全面的に買ったような記事と見出しである。
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「天声人語が盗用」認めず、新潮社に賠償命令 東京地裁
「週刊新潮」が朝日新聞のコラム「天声人語」について虚偽の記事を掲載し、朝日新聞社の名誉と信用を著しく傷つけたとして、本社が同誌を発行する新潮社に謝罪広告の掲載と5000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は17日、150万円の支払いを新潮社に命じる判決を言い渡した。「天声人語」2本を「盗用」と書いた同誌記事について、中西茂裁判長は「真実であるとは認められない」と認定した。そのうえで、うち1本については、不法行為は成立しないとして新潮社の法的責任を否定した。
http://www.asahi.com/national/update/0917/029.html
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次に読売新聞。微妙な表現ではある。中立報道というか、北朝鮮や中国の報道機関が「論評抜きで伝えた」と報道されるのを思い起こす。
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天声人語訴訟、新潮社に賠償命令…不法行為一部認めず
朝日新聞のコラム「天声人語」に盗用があったと記した「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、朝日新聞社が新潮社に5000万円の賠償と謝罪広告掲載を求めた訴訟の判決が17日あり、東京地裁は新潮社に150万円の賠償を命じた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040917i413.htm
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毎日新聞は署名記事だが、ニュアンスとして名誉毀損の棄却部分にウェートを置いている。
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賠償訴訟:天声人語「ネット盗用」、「酷似、偶然と思えぬ」−−東京地裁判決
「朝日新聞のコラム『天声人語』が他人の文章を盗用していた」とする週刊新潮の記事で名誉を傷つけられたとして、朝日新聞社が出版元の新潮社に5000万円の賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(中西茂裁判長)は17日、問題となった2回のコラムのうち1回分について「偶然に一致したとは思えないほど酷似しており、盗用と信じても無理がない」と指摘した。もう1回のコラムに関しては名誉棄損を認めて150万円の支払いを命じた。
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最後は共同電。ここでも名誉毀損成立せずという方に強く力点を置いた書き方である。
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「天声人語が盗用」は相当 週刊誌記事めぐり地裁判決
朝日新聞のコラム「天声人語」2本に盗用があったとした週刊新潮の記事をめぐり、朝日新聞社が新潮社に5000万円の賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁の中西茂裁判長は17日、1本については「盗用があったと信じる相当な理由がある」として新潮社側の賠償責任を否定した。
もう1本については「必要な事実確認をしていない」と名誉棄損の成立を認め、150万円の賠償を命じた。
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ここで引用した記事は、いずれも一部なので、全体のニュアンスを伝えるには不十分なのだが、丸ごと引用すると「適法な引用」の要件との関係で微妙な問題となり、リーガルリスクが生じるのでここまでとする。
フェアユースを正当に位置づけようとしない現行著作権法の解釈と、言論機関のくせに言論の萎縮を招いても恥じない新聞社の著作権ポリシーが、いかにネット上の言論の萎縮を招いているかということの例証である。
それはともかく、新聞の書くことは真実だと思っている皆さん、真実でも伝わり方が正反対になる可能性があることを理解した上で新聞を読みましょう。
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