法科大学院教え方シンポ
日弁連法務研究財団主催の法科大学院教え方シンポジウムが本日開催された。
学生アンケートや各地教員の座談会が紹介された後、以下のような問題提起をした。
(全体に対して)
1.双方向・多方向授業の有効性
いわゆるソクラティック・メソッドのみならず、シミュレーションやライティング、クイズなど、広い意味での双方向授業が行われて成果を上げているのか、それとも旧来の一方通行的講義スタイルが維持されているのか?
2.理論と実務の架橋
法科大学院においては、法学理論偏重の教育内容ではなく、実務に即した内容が求められると言われている。しかし他方では、法実務を無批判に語るだけのものであってはならないとも言われている。手続法においてはもちろん、実体法においても、実務と理論とのバランスはどうはかられているのか?
また、研究者教員と実務家教員との協働はどう進められているのか?
(第一分科会)
3.未修者クラスのアンバランス
他学部卒業生や経験を積んだ社会人などいわゆる純粋未修者と、法律学をかなり学んでいる擬似未修者とが混在する未修者クラスでは、どのように授業が運営されているのか?
また来年から未修者2年生と既修者新入生とが同じクラスを構成するが、そのときの運営方法は?
(第二分科会)
4.実務基礎科目の到達目標と標準化・理論化
ローヤリングや模擬裁判、そして特にリーガルクリニックにおいて、学生にどのような内容を教え、どのような到達目標を持っているのか?
(第三分科会)
5.展開・先端科目における課題
ロースクールにおいて専門性のある法曹養成は可能か?
この後三つの分科会に分かれて、それぞれの課題を議論し、全体パネルディスカッションを行った。
時間的に十分掘り下げられたとは言えないが、法科大学院の教育方法がまだまだ模索中であることが改めて確認された。
全体パネルの登場人物は安念潤司教授、小山稔弁護士、須網隆夫教授、高橋宏志教授、西口元判事、それにコーディネータの私。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 司法制度論Iの授業準備(1) 司法の独立(#成城大学 法学部)(2021.04.05)
- Book:オンラインでもアイスブレイク!(2021.03.31)
- Book:大学はどこまで「公平」であるべきか(2021.02.20)
- 京都造形芸術大学の公開講座「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」に賠償命令(2020.12.05)
- 2020日米法学会シンポ・#民事裁判のIT化(2020.10.17)
コメント