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2004/09/27

lawschool論みたび

落合弁護士のプログでお返事を頂いた。

試験に出るところだけ勉強すればよいと勘違いしている受験生(法科大学院生を含む)は、

>15年余り実務家としてやってきた経験から言うと、実務法曹としての「核」の
>部分の資質を培うためには、定評ある基本書の精読、良い講義を聴くことに
>よる理解の増進、適切な指導者の下での議論(ゼミなど)、論述のトレーニン
>グ(適切な添削等を受けながら)といった作業を、繰り返しをいとわず、地道
>にこつこつと続ける必要があると思います。そういった勉強をする中で、
>「試験」に合格するための適切な対策を組み込むべきであって、
>「まず対策ありき」では、下位合格者として、なんとか滑り込み、その後も、
>常に底辺の近くをさまよう法曹人生を送ることになりかねないと思います。

という部分を拡大コピーして机の前に貼っておくべきであろう。

さて、同日のロースクールについて(雑感)では、さらに耳の痛い話がでている。

法科大学院を卒業しても新司法試験に合格できない多くの人々がどうすればよいのか、制度的に手当てされていないというのである。
落合先生は「現在のロースクール制度は、あまりにも実態とかけ離れたバラ色の夢や幻想を振り撒き過ぎ、そのことだけでも学生を極度に動揺させて、学習意欲にすら悪影響を及ぼしており、近い将来の制度の破綻は避けられないだろうと考えて」いる。

確かに現状では、多数の法務博士が最終合格を果たせず、あるいは法科大学院の過程で進級できずに去っていく多数の学生が出てくるだろうし、それに対しての制度的な手当はない。
色々と言い訳はあれども、制度として極めて無責任な体制になっていることは否めない。

もっともそれがロースクール制度の破綻に直ちにつながるかというと、必ずしもそうとは思わない。
法科大学院の過程で自分には向かないと見切りを付けて出て行く人は、かなりの程度自己認識能力と決断力に長けた人であろうから、自分の道を切り開いて人生を送ることが期待できる人が多かろう。もちろん自分で見切りを付けたのではなくて単位を取れずに見切りを付けざるをえない状況に追い込まれてしまった人というのもいるだろうが。

難問は法務博士で最終合格を果たせない人々だ。
そのようなことを考えること自体、新司法試験に合格して法曹となることを目的に教育している法科大学院にとっては論理矛盾で敗北主義なので、なかなか考える機会がないが、考えざるをえない時期は否応なくやってくるだろう。

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