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2004/07/25

取調べの可視化(続)

更紗姫に反論されちゃったので、さらにコメント。

取り調べ状況が白日の下に晒されることが(録音であれビデオであれ)望ましいということについても、晒され方によっては留保が必要かもしれない。

まず一般に公開されるのは論外だろうし、漏洩の可能性があるのも望ましくない。
少なくとも弁護人側には取り調べ状況が明らかになって、その不当性を訴えたいときには動かぬ証拠として使いたいということなのだが、さりとて調書に代えてビデオ録取書が証拠となるのは認めがたいというのだ。
調書であれば、署名押印する段階でその陳述内容を認めるか認めないかの最終決断ができるのに、ビデオが直ちに証拠となればそういう防御の最終段階がなくなるからという。

その理屈に同意できるかどうかはにわかに断言しにくいが、ビデオをとることを主張する側も、その利用方法をめぐってはなかなか難問が控えていることも事実のようである。
それに、ビデオの取り方、取調室の状況がすべて分かるようなアングル、キセルで誤魔化すことのできない工夫(CG時代はなんでもありかもしれない)、保管責任の所在など、様々な問題が未解決だ。

ただ、それでもビデオにとって可視化を進める方向に行かないと、とにかく身柄拘束して自白調書をとろうと無理を重ねる傾向は、いつまでたってもなくならないと思うよ。

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法律・裁判」カテゴリの記事

コメント

壇です。

先日、韓国の連続殺人犯の件で、
某先生が
「日本は自白があれば、公判を
維持できますが
韓国は直接証拠(客観証拠のことか?)
が無ければ難しいという問題があります。」
コメントしてました。
私は、それを聞いて、日本の方が問題では
無いのか?と思いました。

ちなみに、
日本では、基本的に逮捕・勾留が認められて
密室で取り調べを受けます。
接見禁止処分が出れば、
基本的には、弁護人以外とは話が出来ません。
そのような環境にいるとノイローゼのように
なってきます。
最初は元気に否認していた人でも、
1ヶ月も経つと「罪認めたら出れるか?」
とか言うようになります。
被疑者は生身の人間です。

テレビ等では、そのような部分は出ませんが、
この機会に知って頂けたらうれしいです。

PS
テレビで良くあるような、
アクリルの板で隔てていて
そこに1重に穴が空いてるだけの
接見室はありません。
もし、そんなのがあったら、
ポッキー差し入れできちゃうかも
しれませんね。

投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/07/27 13:04

ときどき拝読させていただいております。
小生は,某実務家でございます。

日本は8~9割が自白事件で1回結審ですから,本来は,否認事件こそ取り調べの可視化が今後の論点になるかと思います。
しかし,たわむれに,自白事件で,訴追機関側が取調べ時のビデオテープや録音テープを利用することを考えてみると……。
取調べ時に暴言を吐く態度の悪い被疑者,被害者に責任転嫁して不自然不合理な弁解をする被疑者……などであれば,訴追機関は,これを乙号証として請求し,「被告人の当工判定における反省文言は猫かぶりの表面的なものであり,取調べ時の悪口雑言はその証左である。」と論告で指摘され,被疑者・被告人に不利な証拠となる可能性もあります。
まだ,公には誰も論じていないと思いますが。
ご参考になれば幸いです。

投稿: ハッカ飴P | 2004/07/29 03:19

ハッカ飴Pさん、
コメントありがとうございます。

私は弁護人でないので、ふてぶてしい被告人が外面だけしおらしくして執行猶予を勝ち取るのは怪しからんと思ってます。
だからハッカ飴Pさんのご指摘は、可視化の利点に聞こえますし、おそらく国民一般の共通認識にも合致するでしょう。

先日の研究会で弁護士さんが、「ビデオ撮りするとしてもそれがすぐに証拠になるのは反対」といわれていたのは、そのあたりを意識した発言かもしれませんね。 

まあ、いずれにしても、取り調べ中の態度なり発言なりがすべて証拠になりうることは、被告人に告知されているべきでしょうし、追いつめられた被疑者を挑発して感情的に暴発させたりするのは取調官にとっては簡単なことでしょうから、そういうのが粗暴性とか無反省とかの証拠にされるのは問題ありと思いますけど。

投稿: 町村 | 2004/07/29 09:33

更紗です

ハッカ飴Pさんの指摘も頷けますね。
取調官の中には、被疑者が感情的になるように誘導していくケースもありますよね。
取調べ中の被疑者の感情や表情で裁判が左右されるのは問題ですね。

それと、取調べ中のビデオ撮影や録音などを、取調官が被疑者にきちんと説明してくれるかという問題もあると思います。

投稿: 更紗 | 2004/07/30 00:37

弁護士の壇です。

取調中の被疑者の扇動の問題ですが、
悪性格立証のためだけに、
扇動するのはそれほど多くは無いような
気がします。
単なる悪性格証拠に、
証拠能力があるか疑問ですし
(おそらく、弾劾証拠に使われる
のでしょうが、いちいち、弾劾証拠
だけのために、扇動していたら、
いくら時間があっても足りない。)
激高している姿を撮影して、
恐喝における脅迫に当たる
という立証に使われそうな気がします。

次に
ビデオ撮影を告知していることは
「事前に説明したとおり、
ビデオに撮影してるから、
そのつもりでいるように」
と撮影して、立証するでしょう。
よく
「ただいま、刑事さんから黙秘権の
説明を受けてよく意味が分かりました。」
という一文を入れて、黙秘権の告知を
調書化するのですが、
それと同様ですね。

あと、色々とありますが、
私は、実務的な側面を補った方が
議論が盛り上がると思いますので、
この程度にします。
弁護士は、ホントはいろいろ
考えているんですよ。
更紗さん(笑)。

投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/08/03 02:15

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昨日の南山大学法学部の町村泰貴教授の「取調べの可視化と白骨温泉 (Matimulog)」の件について、ちょっと反論を日記に書いたんだけど・・・ http://d.hatena.ne.jp/sarasa ... [続きを読む]

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