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2004/07/21

訴訟救助付与決定に相手方当事者が抗告

最二決平成16年7月13日(平成16年(行フ)第4号)は、訴訟救助を付与する決定に対して、その相手方当事者が即時抗告をする権利を認める判断を下した。

法文上は利害関係人とあるので、相手方当事者はその典型に見えるが、上訴の利益が果たしてあるのかどうかという点で、学説の多くは相手方の即時抗告の利益がないと解していた。
しかし判例は大決昭和11年12月15日民集15巻2207頁や下級審で即時抗告の利益を認めていた。

本決定は、次のように述べて、従来の判例を踏襲した。
「民訴法86条は,同条に基づく即時抗告の対象となるべき決定から,同法82条1項に基づいてされた訴訟上の救助の決定を文言上除外していない。また,訴訟上の救助の決定を受けた者が同項本文に規定する要件を欠くことが判明し,又はこれを欠くに至った場合における救助の決定の取消しについて,同法84条は,利害関係人が裁判所に対してその取消しを申し立てることができる旨を規定している。訴訟上の救助の決定は,訴え提起の手数料その他の裁判費用等についてその支払の猶予等の効力を有し(同法83条1項1号等),それゆえに訴えの適法性にかかわるものであるほか(同法137条1項後段,2項,141条1項参照),訴訟の追行を可能にするものであるから,訴訟の相手方当事者は,訴訟上の救助の決定が適法にされたかどうかについて利害関係を有するものというべきである。以上の点に照らすと,訴訟上の救助の決定に対しては,訴訟の相手方当事者は,即時抗告をすることができるものと解するのが相当である(大審院昭和11年(ク)第575号同年12月15日決定・民集15巻24号2207頁参照)。」

ただし、これには滝井判事の反対意見がある。反対意見は、要するに訴訟費用の担保を求めることができる場合を除き、相手方には即時抗告の利益がないというものである。

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コメント

弁護士の壇です。

実務的な観点から言うと、
訴訟救助に対する即時抗告は、
消費者事件つぶしの手法として
(も)
用いられています。

訴訟費用の無い消費者が、
訴訟救助を得て訴訟提起することで、
費用負担の軽減を図ることが、
従前用いられていました。
これに対して、
企業(特に国)側から
即時抗告をすることが
増えてきました。
即時抗告が通れば、印紙の負担で
実質的に事件をつぶす事が出来ますし、
即時抗告が通らなくても、
かなりの時間つぶしが出来て、
その間、弁護団事務局を設置した場合は、
家賃や人件費の負担がかかって、
かなりの費用負担になります。

この決定の背景には、
そういう側面があると言うことを、
ふまえて、この事件を
捉えて欲しいです。

投稿: 弁護士 | 2004/07/21 17:52

壇先生、なるほどです。

ちなみに訴訟救助には即時抗告があっても、法律扶助は不服申立の余地がないですね。
もっとも法律扶助はファンドの限界があるという問題もありますが。

投稿: 町村泰貴 | 2004/07/21 20:31

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