Winny開発者保釈決定
時事通信のページによれば
>ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」をめぐる事件で、京都地裁は1日、
>著作権法違反ほう助の罪で起訴された東大大学院特任教員の金子勇被告
>(33)の保釈申請を認めた。同被告は保釈保証金500万円を納め、保釈された。
とのことである。
悪名高き人質司法で、否認している被告人は保釈しようとしない裁判所
(あるいは実質的には検察官)が、珍しく保釈を許した。
(追記:ところが「保釈された」という部分は誤報だった。コメントに壇弁護士直々
書かれているように、検察側が準抗告したから。
刑事訴訟法には詳しくないのだが、保釈決定の執行は準抗告により当然停止
される、というか保釈決定は確定しないと効力が生じないということなのだろうか?
ともかく、上記の検察官が保釈を許したというくだりは間違いであった。)
まずは金子さんにご苦労様といいたい。
(追記:このフレーズもまだ出せない。すぐに有効になると信じているが・・。)
(追追記:今度こそ、京都新聞のウェブで保釈されたと報じられた。コメントで指摘してくれた方、ありがとうございます。)
それにつけても、ちらほら一罰百戒とかいう言葉を報道などで目にするが、この言葉一つとってみても今回の刑事訴追がいかに日本の技術開発に悪影響を与えるか分かりそうなものだ。
幇助ということで、正犯との直接的な結びつきも明らかでないまま、著作権侵害に「も」使えるツールを開発配布たというだけで逮捕起訴され、これが百戒を及ぼすのであれば、その累はどこまで及ぶか分かったものではない。
ネットワーク技術の開発は、いずれも刑事罰を問われる危険に怯えながら行わなければならないのだろうか?
幇助という、もともと曖昧な概念が無制限に広がるようだと、罪となるかならないかが取り締まり当局(警察・検察)の恣意的な裁量に委ねられ、我々の行動の自由が警察のお目こぼしによって維持されるという前近代的な社会がやって来てしまう。
そうならないためにも、幇助となるのはここまでであるという線を、きっちり示してもらいたい。
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コメント
それは、保釈されたというのは
6月1日
16:13分現在で誤報ですね。
検察は、保釈に徹底して反対して、
現在、保釈許可決定に対して
準抗告しています。
投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/06/01 16:15
検察官が準抗告をうっても、裁判官の保釈決定が出ている以上
その準抗告が認められるまでは保釈決定は有効ではないですか?
投稿: ken | 2004/06/01 16:44
壇です。
現在、準抗告の決定待ちです。
保釈決定に対して、検察官が
準抗告をする場合は、必ず、
保釈執行停止の申立てをします。
そんなものが法的に有効かという
問題があるのですが、
実務的には、なぜか、保釈されない
取扱になっています。
投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/06/01 17:06
なるほど、分かりました。
保釈執行停止申立についてはもともと不要で、原裁判所が職権で執行停止決定をできることになってますね。刑訴432条による424条1項但書準用。
投稿: 町村泰貴 | 2004/06/01 17:17
正犯も保釈中ですが、準抗告が出ましたね。
身柄引受人に問題があるとか、被告人との関係が「怪しい」とか。
被告人は逃げてないし、単独犯は隠滅する証拠も最初からないわけで、準抗告が失当であったことは明かです。
儀式なんじゃないですか?
投稿: 奥村 徹(大阪弁護士会) | 2004/06/01 21:36
本当にね~なんて事件でしょ。
法律に詳しくはありませんが、
こんな事で逮捕なら何らかの道具使った犯罪が起きたら
全ての事件でその道具の製造、販売者に幇助の意図があったかどうか
確かめないといけないんじゃないですかね?
元を根絶しないとずっと「幇助」し続けるのにね。
ちゃんとナイフを作った人や、「バールのようなもの」作った人の製造意図は確かめてるのかな?
それとも、金子さんのように話もせずだんまりを決めとけば「完全犯罪」ですかね?
それと野菜やらはよく切れるけど人は切れないような策を講じてるのかな?
他にも似たのありますよね。道交法とか。
速度違反の度に、法定制限速度を超えての走行をしやすくした
自動車の製造、販売業者はなんで捕まらないの?
法定制限速度なんて破られ放題じゃない?
もっと言えば
事実上、法定制限速度の違反を見過ごしてる警察官諸君、
それもまた道交法違反の幇助になるんでないかい?
行政も無法地帯を作って幇助してるんでないかい?
何のための立法府なんでしょうか?
こんな文章けーさつに見られたら、また「解釈」が広くなるかな。
こんな駄文書いてすいません。イライラしちゃって。。
町村先生、弁護団の皆様、どうかこれからも
金子さんを支援してあげて下さい。
投稿: boze | 2004/06/01 22:57
別件における私の手元記録によれば、以下のようになっています。
1)検察官→地裁・高裁
「裁判の執行停止申立書」(2通)
※地裁と高裁に両方提出するらしい。
※保釈許可決定の裁判の執行(つまり身柄の釈放)をするまでの間に執行停止決定(後記)が出ないと身柄は釈放されてしまうらしい。
2)地裁
「決定」同日付け
「主文・抗告に対する裁判があるまで、保釈許可決定の裁判の執行を停止する」by地裁
3)高裁
「抗告棄却決定」
※というわけで、身柄は釈放されました。本件はどうなるか??
投稿: tsuru | 2004/06/01 23:07
鶴巻先生、
保釈の裁判に対する準抗告は地裁の合議体が裁判するのでは?
今外なので六法は見られません。
投稿: 町村泰貴 | 2004/06/01 23:26
京都新聞より。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004060100145&genre=D1&area=K00
Winny開発者を保釈
ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」の開発者が違法コピーを助けたとして、著作権法違反ほう助の罪で起訴された事件で、京都地裁は1日、東京大助手金子勇被告(33)の保釈決定を出した。弁護団は保釈保証金500万円を納付し、金子被告は同日夜に保釈された。京都地検は保釈しないように求めて準抗告したが、棄却された。
投稿: run | 2004/06/01 23:34
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004060100145&genre=D1&area=K00">http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2004060100145&genre=D1&area=K00
投稿: @c | 2004/06/01 23:35
特別抗告っていうのは関係ないんですか?
投稿: 質問です | 2004/06/01 23:41
特別抗告は憲法違反、判例違反の場合に可能ですが、まさかね。
また一つ勉強になったこと、民事では特別抗告といったら憲法違反だけなんですが、刑訴は判例違反の理由でも特別抗告ができるんですね。
うーむ、学生時代が遠くなっているわけだ。
投稿: 町村泰貴 | 2004/06/02 00:26
準抗告棄却によって、保釈は確定でよろしいのでしょうか・・・
昼間ぬかよろこびをした影響で疑心暗鬼になってしまっています。
投稿: KK | 2004/06/02 00:31
弁護士の壇です。
本日、準抗告が棄却されて、
午後11時に、無事、
金子氏は保釈されました。
今回の保釈にあたっては
皆さんの支援金から保釈金を
支出致しました。
今回の保釈が認められたのは、
皆さんの声が裁判所に
伝わったのだと思っております。
最後に
金子氏から「皆様のご支援
ありがとうございます。」と
申していたことを
お伝えさせて頂きます。
投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/06/02 00:33
KKさん、私もぬか喜びした口ですが、きっと今度は間違いないでしょう。今頃は京都のどこかで、清潔なベッドに落ち着いているかな?
あ、弁護団から連絡が。
投稿: 町村泰貴 | 2004/06/02 00:35
ああ、よかった。
弁護団の皆様そして何より金子氏へ
これからも全力で応援します。
投稿: KK | 2004/06/02 00:36
これから金子さんに頑張って欲しいと思う、元ソフト屋です。
ソフトウェアという使用者によってどうにでも使えるモノのある一点を取り上げて犯罪とするなら、プログラムを作っている大勢が殺人罪で有罪ですよ。
もちろん使用許諾なんてのも意味が無くなる。
なんで、一方方向だけ方が機能するというのか?
どういう原理なのかを争って欲しい。
投稿: 酔うぞ | 2004/06/02 01:11
鶴巻先生
第1回公判までは、勾留に関する裁判は
裁判官が行うとあるので(刑訴法207条
だったかな?)
記憶が確かじゃありませんが。。。。
と言うことで、確か、
保釈に関する裁判は裁判官が行います。
裁判官の決定に関する不服申し立ては準抗告で。
裁判官の決定に対する準抗告は当該裁判官が属する
地方裁判所の裁判所合議体がこれを行うとするのが
正しいと思います。
投稿: 弁護士壇俊光 | 2004/06/02 02:37
コメントが遅くなり申し訳ありません。
壇先生のコメントのとおりだと思います。
私の扱った案件は第1回公判期日後・合議事件の保釈請求であり、すべて受訴裁判所が合議体で行ったため、上記のように書いてしまった次第です。
投稿: 弁護士鶴巻暁 | 2004/06/02 13:09
なんか投稿者の表示がずれていますね。
投稿者: 奥村 徹(大阪弁護士会) (June 1, 2004 09:36 PM)
投稿: 奥村 徹(大阪弁護士会) | 2004/06/02 19:23