ネット監視の和解
5月20日の本欄で記載したネット監視を求める仮処分についてだが、和解が成立したらしい。
1年間にわたるネット上の監視作業を認めるによれば、以下のようである。
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ACCSが求めていた以下の各点について、元国立大学研究員が全面的に同意してこれを自主的に行う旨宣言し、和解調書に明記されることになったものです。
1.ASKACCSの利用していたサーバから入手した約1,200件の個人情報と、元国立大学研究員自らが作成した個人情報が含まれるパワーポイント資料の流布・拡散について、和解日から1年間、インターネット掲示板やインターネットホームページを1日1回程度の割合で点検すること。
2.個人情報の掲載が確認された場合は、ACCSに報告するとともに、掲示板の管理者などに対して個人情報の削除を求め、当該個人情報を掲載した者を特定するための情報収集を行うこと。
3.月1回の割合でACCSへ点検状況を報告すること。
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興味深いが、これを本当に和解調書にまとめたのだとすれば、その書記官・裁判官も興味深い。
1や2については給付の内容が特定されていると言えるだろうか?
また2の削除要求義務と情報収集義務とは、元研究員が自ら個人情報流出を発見した場合に限るのか、それともACCSが見つけた流出についても元研究員が削除要求義務と情報収集義務を負うのだろうか?
後者だとすると、法外ともいってよいほど過大な義務を負うことになる。
こんな和解をのんだ元研究員だが、その道で高名な弁護士が代理人となっているそうなので、
おそらく上記は杞憂ということなのだろう。
いずれにせよ、興味の尽きない事件である。
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