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2004/06/08

権利能力なき社団の権利能力?

先の授業で権利能力なき社団の問題が取り上げられた。
法人格のない社団にも一定の法主体性が認められ、訴訟当事者能力が明文で認められているほか、判例は社団の有限責任性を認めている。
ところが判例は他方で、権利能力なき社団の財産権の主体としての地位は認めず、社団の財産は構成員に総有的に帰属するという。

さて私の授業に参加している学生達は、判例の用語法に従い権利能力なき社団が財産権の主体とはなれないと書き、それにも関わらず契約の当事者となるという構成の下で、訴訟当事者にもなると論じた。
#一人、例外として訴訟担当者構成を取る者がいて、一歩ポイントリードという感じだが、この点は下記参照。

しかし財産権の主体足り得ないものがどうして契約の当事者になるのだろうか?
また権利能力なき社団が財産権の主体になりえないというのを真に受けるなら、契約上の債権債務を社団が負担することは背理となる。まして社団の債務に構成員が有限責任しか負わないというのも、筋が通らない話である。

財産権の主体となりえないのなら、社団の債権債務に見えるのは構成員に帰属するというにほかならない。そうだとすると民訴29条の当事者能力が認められているとしても、(社団の債権債務に見える)構成員の債権債務について訴訟が提起されたとき、当事者適格は構成員にあるのであって社団にはない。
社団が構成員の債権債務について当事者適格を得るためには、任意的訴訟担当を認めてもらう必要があるが、そうだとすると判決効は有利不利を問わず構成員に及ぶ。

結果、財産権の主体ではないと言う表現に囚われて、その方向で一貫させようとすると、構成員個人に帰属する債務を社団が担当者となって応訴し、その判決効は構成員に及ぶのに、構成員個人の財産には執行できないということになる。

しかしこれは極めて無理な解釈である。

逆に、民訴学者の側で支持されている考え方と言われているが、民訴29条が当事者能力を認めた限りにおいて、財産権の主体たる地位が認められたのと同じ扱いがなされるという論理も奇妙である。財産の主体となるかどうかはあくまで実体法の問題であり、当事者能力の有無とは無関係といってもよい。社団の財産を巡る訴訟について当事者能力が認められるが故に・・・という前提に、既に「社団の財産」という言葉が入っているように、少なくとも構成員の個人財産とは区別された財産の存在をあらかじめ認める必要があるのである。

判例の言う財産権の主体足り得ないという命題は、どのような事案で、どのような結論を導くために述べられたかをきちんと理解すれば、おのずとこんな無理解釈にハマらずに済みそうだが。
町村泰貴@foma

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