新司法試験シンポジウム
日弁連の法科大学院センターで開かれた新司法試験シンポジウムに出席した。
なかなか面白い展開で、様々な見方が率直に示されて議論が盛り上がったことは、出色のできかもしれない。
その立役者となったのが慶応大学の井田良教授。理論と実務との架橋ということで、陳述書等の資料を提出して実務家の書面を書かせるような、あるいは刑法では論点として物足りない問題で検察官の立場から書面を書かせるような問題形式について、実務家のママゴトと切って捨て、現行の司法試験は理想的な出題形式だと言い切ってしまうのだから、殴り込み的でさえあった。
新司法試験の問題はどのようなものであるべきか、なかなかイメージがわかないが、短答式と論文式とを行うこと、論文式は時間をかなり長くかけて答えること、民事法は民法・民訴を一括して問題にするということなどが前提として決まっている。
その上で、知識を問う問題ではないとか、前期修習がなくなるので新司法試験は実務修習に行く段階の能力を身につけていることを測るべきとか、色々と与件がある。
そうすると、少なくとも論文式の出題形式は大体、当事者の陳述や証拠となる資料をある程度の量示して、当事者の主張を組み立てたり、裁判所の判断を答えたりといったやり方が多くなりそうだ。また民法と民訴の融合問題とはいっても、両方が関係してくる問題と言うよりは、一つの事例の訴訟法的問題と民法的問題とが出題されるということになりそうだ。
問題はその中身である。典型論点について通り一遍の説明を暗記してはき出すだけでOKという試験ではいけないということ自体は、大体一致しているだろうが、その先は模索中である。
問題案は、色々な立場から考えて意見交換に提供していく必要がある。
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