一人で仮処分決定して悪いか
中日新聞の憲法記念日特集で文春差し止めの件が取り上げられていた。
全体に冷静な記事だったが、記事中特に問題だと指摘されているのが、裁判官一人で、短時間の意見聴取で差し止めを命じたという点である。
記事では異議審と抗告審でのレビューについても触れられているので、それらの制度全体について無知で書いたものではないようだ。
要するに後で慎重に審査する機会があってもなお、拙速だというのだが。それでは事前差し止めは一切不可能となるかもしれない。それでもよいというのだろうか?
経済的な打撃に対しては一応担保が用意してあるので、それは度外視しておく。
他方で、行政問題については、争いのある工事が仮にも止められないことに制度の欠陥を指摘する声が強い。
ところがメディアの表現行為については、争いのあるケースでも一切止められないことになってもよいのだろうか?
表現の自由の重要性は十分考慮した上でも、なお、当該記事には軽率というか、アンフェアな印象を受ける。
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